第5話 最終兵器は幼い女の子だった
「よっこいしょお!」
ツヴァイが振り下ろされ、道を塞いでいたガラクタをぶち壊す。この地下施設は壁自体はSFっぽい作りをしてるけど、カードスキャナーとかが無いから壊して進める。そこはファンタジーなんだな。ごり押しができる時点でだが。
「てっきり機械系の魔物が出るかと思って警戒したけど、何も出ないな」
こういう研究施設では何かしら実験体や機械系の魔物がわんさか出るのがお約束なんだが、進んでいるだけで何も出現しない。不気味だ。逆に不気味だ。
何でかって?敵が沢山出るRPGでは何も出現しないのは帰って怖いのだ。
「即死の罠が置いてある可能性」や「ダンジョンの掃除屋が滅茶苦茶強い」など様々な出来事があるからだ。つまり、敵が出現しないダンジョンほど怖いものはない。
「ここで道が終わってるな」
てくてくと歩いていくと行き止まりにぶつかる。地下施設の割には大して広くはない。となるとさっきから閉じている左右の部屋に何かがあるんだろう。
「……唯一これが怪しいんだがな」
少し頑丈そうな扉を見つける。横には恐らくどんな部屋かをわかりやすくするためなんだろう。文字は……。
「あれ?読めるぞ?」
不思議と読めた。異世界の文字を学んだ覚えはないんだが、多分転移した影響で読めるようになったんだろう。ゲームで言うなら自動翻訳システム的なものだろうか?
部屋の名は験体反省室と書いてある。
……反省室?学校か?実験体が反省というパワーワードなんざ聞いた事もない。闇が深そうだなこの施設。
「先ずは開けてみるか」
と言ってもこじ開けるだけだがな。
先ずは閉ざされた扉に触れる。反応はない。ただ触れた瞬間、扉の奥からすすり泣く声が聞こえた。
「そこに誰かいるのか?」
試しに声をかけてみる。
その時だった。
ドン!
扉を思いっきり叩く音が聞こえた。
「そ、外に誰かいるのカ!?開けて欲しいのダ!」
な、何だこの口調は……実験体の1体か?随分とアホっぽい言い方だな。語尾がカタカナって……もしかして段階的に試作段階なのか?
「済まないが、扉は固く閉ざされていてな。扉をぶっ壊すから、下がっててくれ」
「わ、わかったのダ!」
ツヴァイを両手で構えて、乱れ斬りのように扉を斬る。
そう動いた瞬間、習得のアナウンスが鳴った。
『【五月雨斬り】を習得しました』
五月雨斬りって……まだ序盤の熟練度なのに習得できちゃったよ。これ本当は熟練度レベルが25以上で修得可能なのに……。
「って勢い余って部屋ごとぶった斬った!無事か!?」
ガラガラと固く閉ざされた扉が壊れる。天井は壊れてないものの、完全に周りのものが細切れにされた。
『【五月雨斬り】が強化され、【真・五月雨斬り】に名を変更しました』
そう言うのは今いらん!中の奴は無事か!
ボロボロになった部屋に足を踏み入れる。辺りは真っ二つに斬れてるものが多く。
その部屋の奥で、先ほどの斬撃に怯えた一人の幼い少女がいた。
「こ、殺さないで欲しいのダ……」
「悪かった。勢いが余ってな」
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