第186話
エリック殿下が盛大にすっころび、エマ姫様が棒を確保して2回戦目終了となった。
「では両軍とも準備は宜しいですか?3回戦、始め。」
ギルバート殿下の
こうなるとなかなか手を出し辛いのがギル・エマ連合軍。エマ姫様が水球を放って前進するが、姫様の移動速度ではあまり距離が稼げない。のんびりしているとエリック殿下の
「なかなか手堅く来ますね、兄上。棒はもう目と鼻の先ですから、走れば掴み取れますよ。」
「その手には乗らないぞ、ギルバート。お前達だって隠れるのに精一杯であまり進んでいないじゃないか。」
エリック殿下とギルバート殿下の駆け引きまで始まって、いっそう賑やかになって来た。
「ハイ、時間も経ちましたので今回は引き分けとさせて頂きます。丁度お茶の準備も出来た様ですので休憩に致しましょう。」
厳密な試合時間なんて計りようも無いので、俺ルールで水入りとさせてもらった。エマ姫様が、え?もう終わりなの?見たいなお顔をされているが、休憩ですよ姫様。お茶やお菓子を召し上がる前には、ちゃんと手を洗って下さいね。
さて、成り行きでこんな陣取り合戦見たいな事になってしまったけど、この後どうしようか。ちょっと膠着状態に陥っているし何かルールを付け加えるべきかなぁ。
「ねえジロー。そのお菓子食べないの?食べないなら私が食べてあげる。」
ニコニコしながらお菓子を食べるアンちゃんは悩みが無さそうでよろしおすなあ。いまここで平和な気分を味わっているのはエマ姫様とアンちゃんくらいなものだろう。エリック殿下もギルバート殿下も何か考え込んでるし。たかが練習。されど試合。作戦練ってるのかな?
「ではそろそろ続きをやりましょうか。」
俺は面倒臭くなって、もう暫く様子を見る事にした。殿下方が何か考えている様だし。俺は危険が無い様にだけ注意すれば良いや。
「それでは4回戦、始め。」
俺の掛け声と共に前進するエリック殿下。前回と同様慎重に歩を進める様だ。ギルバート殿下・エマ殿下連合軍も前回同様。またもや膠着状態か?と思いきや、エリック殿下に動きがあった。エマ姫様に向かって水球を放つ。当然ギルバート殿下は砂壁を作って防御する。
「これからだぞ、ギルバート。」
エリック殿下は続けざまに水球を放つが、砂壁の後ろに隠れているエマ姫様には届かない。しかしよく見ると砂壁の一部が崩れかけて来ている。エリック殿下は同じ部分を狙っている様だ。途中でギルバート殿下も気が付いて補強しようとしたが間に合わず、砂壁を貫通した水球がエマ姫様のお腹の辺りに着弾した。
「勝負あり。エリック殿下の勝利です。」
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