第146話
俺たちはグラマーエルフ改めセシルと別れて、一旦モモットルの街に戻った。宿に置いて来た荷物を取りに戻るのと、ミュエーの世話を頼むためだ。さすがのミュエーも原生林の中、道も無い所じゃ走れないしね。宿屋の大将に金貨数枚握らせると、喜んで世話してくれる事になった。俺たちが戻るまで大人しく待ってろよ。よしよし。
再び森に戻るとセシルが待っていた。そんなところで一人で待っているくらいなら一緒に来れば良いのに。誘ってみたが、みだりに森を出てはいけないと言う掟があるとの事。だから街との交流が少ないのか?本当は森から出るのが怖いんじゃないの?なんて失礼な事を思っていたらセシルから睨まれた。セシルさん、あなたもおかしな加護持ってませんよね?
とにもかくにも、セシルと合流した俺たち3人はエルフの里を目指す事になった。迷いの森は広大だ。大きい事はいい事だ、がほぼ原生林の中を歩くのはとても大変だ。なかなか距離を稼げない。大きく足を引っ張ってるのは何を隠そうこの俺だ。
「だからいつも言ってるじゃない。少しは体を鍛えなさいって。」
毎度ながらアンちゃんからご指摘を受けてしまいました。でもね、これでも女神様に身体能力を強化してもらってるんだよ。こんな木の根っこが絡み合ってデコボコしてて、時々大きな倒木を乗り越えたりとか、
「今回目指すのは
セシルによれば森の中にはいくつかの集落がある様だが、今回は森の中心部にある臍の里まで行かなきゃならないらしい。このスピードだと4,5日かかりそうだと教えてくれた。勘弁してくれ。おっさんはもう筋肉痛だよ。毎回の休憩ごとに軽く回復魔法のお世話になっているくらいだ。
「ところで貴殿が使われている回復魔法なのですが。もしかして貴殿は勇者もしくはその血筋の方なのでしょうか。」
「いいや。おれは勇者でもその子孫でもないよ。」
「では一体
「まあ、色々事情があって・・・。女神様から頂いた加護なんだ。あまり詳しく聞かないでくれると助かる。」
セシルは何か言いたそうだったが、そのまま口をつぐんだ。あんまり身バレしたくない俺は、これ幸いと話題を変える事にした。
「ところで、どうしてセシルは薬草を探してあんなところまで来たんだ?さっきも聞いたけど、森の中に沢山生えているところがあるだろう?」
「お恥ずかしい話、森の中の薬草は少しの株を残しつつ殆ど刈り取ってしまったのです。なので滅多に行かない森の外縁部まで探しに行って・・・。」
うーむ。森の中だけで暮らすエルフ達は俺たちとは逆パターンって訳だ。俺たちは周辺からだんだん奥へと探しに行くけど、エルフ達は中心から外縁へ向かって探しに行くんだ。
この広い森の薬草を刈り尽くす勢いだから、相当困っているんだろうな。一体何が起こっているのだろう。
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