第145話
俺は初めてエルフをまじまじと見た。俺たちを襲っていたのは見目麗しい女エルフだった。金髪に整った顔立ち。これぞ正しく
俺はツルペタが嫌いと言う訳では無いが、ある程度はあった方が好みだ。おっと、話がそれた。全体的に見た感じ、街に居る美人のお姉さんとさほど変わりがない。特徴づけているのはその目がオッドアイという事だ。もしかして貴女、どこかの領域守護者だったりしますか?
とアホな事を考えている間に、アンちゃんが左ももに刺さった矢を引き抜いてくれた。痛い。とっても痛い。もしアンちゃんがこの場に居なければ泣き喚いていたくらい痛い。だがここはぐっとやせ我慢。
「痛かった?ジロー。大丈夫?」
「痛いけど。まあ何とか。」
俺も襲って来たエルフも脚を怪我して碌に歩けない。仕方がないので、俺は回復魔法を使う事にした。見られた相手が引きこもりのエルフ、しかも一人だけなら何とでも誤魔化せるとの判断だ。よし、イメージイメージ。特に矢柄の破片なんかが残っちゃったら再手術になっちゃうからね。
俺が回復魔法の光に包まれると、脚の傷は直ぐに癒えた。屈伸とかしても痛みは全くない。その様子を目を見開いて見ているグラマーエルフ。オッドアイをこれでもかと見せつけている。
「そ、その魔法は・・・。」
「貴女の傷も治すし、そこの薬草も持って行ってもらって構わない。だからこれで手打ちにして欲しい。」
そもそもエルフの
「ちょっとジロー。何で手を握る必要があるのよ。」
「今までの実績から、手を握った方が効果が高いんだよ。」
手を握ったくらいで叱責されるとは。相変わらず信用の無いおっさんです。大丈夫だから。浮気しませんって。
「今使ったのは回復魔法ではないのか?」
今度はグラマーエルフから声が上がった。隠しようも無いので俺は正直に答える事にした。
「その通り。回復魔法だ。ただ、この事は他言無用に願いたい。」
「お願いだ。そこに生えている薬草なら全部持って行ってもらっても構わない。どうか私と一緒に里まで来てもらえないだろうか。いや、是非とも来てください。お願いします。」
急に態度が改まったグラマーエルフからエルフの里へご招待を受けた。これは好都合。渡りに船だ。
「何か理由があるのか?」
「怪我人が。その奇跡で癒して欲しい怪我人がいるのです。」
俺たちはグラマーエルフの案内でエルフの里へ向かう事になった。もちろん薬草は株を少し残して採取しましたよ。だって勿体ないじゃん。
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