第105話
警戒を厳重にして夜明けを待った。程なく日が昇ると俺とアンちゃんは盗賊たちを見て回った。結果、負傷3名、死亡17名だった。死んだ奴を見るとほぼハチの巣状態。エグイ。まあ、俺がやったんだけどさ。さすがのドワーフもちょっと引いている。
アンちゃんは生き残った奴を尋問している。一応トマヒヒンまで連れて行って衛兵に引き渡すつもりでいるので、死なない程度に手当てしてやった。傷を洗い、消毒と血止めの薬草を付ける普通の治療をしておいた。
「近々この辺りで金になりそうな騒ぎが起こる、って言う噂を聞いてやって来たんですって。」
「迷惑な奴らだな。」
「これで全員見たい。逃げた奴は居ないわ。」
懸賞首なら死体でもお金がもらえるのだが、今回は全部穴を掘って埋める事にした。だって、ハチの巣になった死体を衛兵に見せたらどうやって仕留めたのかこっちが尋問されちゃうもんね。トマヒヒンを探りに行くのに騒ぎ起こしてどうするってもんだ。
「久しぶりに見たけど、やっぱりジローの魔法って凄いのね。」
直径50cm以上ある大木を何本も貫通して100mくらい先まで飛んで行った様だ。この威力は俺がコーラス様の使徒になったのと関係あるのだろうか。あるんだろうなぁ。今度お伺いしてみよう。
その後は特に何も起こらず、トマヒヒンの街へ到着した。城門の衛兵に3人を引き渡すと懸賞金を貰えた。他の奴らはどうした?と聞かれたので、逃げられたと答えておいた。捕虜の3人が何か
「じゃあ儂らは店へ行く。今回は本当に助かったぜ。帰りは別になるが、またラジアンへ来いよ。今度一緒に飲もうぜ、な。」
そう言うとドワーフ達は自分たちの店へと向かった。若干アンちゃんの冷たい目が気にかかる。
「俺たちはどうしようか。」
「数日間逗留して調査するのだから、先ずは宿へ行きましょう。」
トマヒヒンの街は小さいが活気のある街みたいだ。山がちで人口を増やすのは難しそうだが、近くにドワーフ自治領があるので武具を買い求めに大勢の人が来るらしい。
俺たちはそんな人たち向けの宿屋に泊まる事にした。
「一人部屋は開いているか?」
「生憎一人部屋はいっぱいでね。ツインなら1部屋空いているよ。」
「じゃあ、その部屋でいいわ。」
アンちゃん
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