第103話
俺とアンちゃんはドワーフ自治領ラジアンへと街道を進んでいる。今朝早くメレカオンを発ったので、今日中には着くと思う。
昨日の話の流れで、アンちゃんにも魔法を教える事になったが、基本やる事は殿下方と同じだ。着火の炎を大きくするところからだね。さすがに3歳児じゃないから火の始末は大丈夫と思いたい。
「もうそろそろラジアンに着くよ。着いたら
「え、領主様なんでしょう?いきなり訪ねて平気なの?」
「うーん、領主は領主なんだけど貴族じゃないんだよ。」
アンちゃんにドワーフ独自の
「世の中広いわね。ドワーフの考え方が変わっているのかしら?」
前の
ラジアンの街に着いた俺たちは、早速ユルゲンと面会する事にした。自警団の連中も、みな俺の事を知っている様だ。すんなり通してくれた。
って言うか、メレカオンに行って戻ってくるまで数日しか経ってない筈なのに、俺はこの街で有名人になっている見たいだ。みんな笑顔で挨拶してくれる。挨拶してくれるのは良いのだが、皆さん小声で酒、酒、と言っているのは気のせいだろうか。きっと気のせいに違いない。アンちゃん、怖い目で俺を見ないで。
*****
「アンナです。以後お見知りおきを。」
「儂はユルゲンと言う。ジローとは親友の仲じゃ。堅苦しい挨拶など要らんよ。」
アンちゃん、だからその”何やらかしたんだお前”見たいな目で見ないで。変な性癖に目覚めちゃったら大変でしょ。ただお友達が沢山出来ただけだからね、ね。
「ジローが戻って来たので、明日トマヒヒンの店に納品に行く事にしよう。護衛という事であればそれ程目立つ事なく街に入れるだろう。」
ユルゲンは俺たちの到着を待っていてくれた見たいだ。
「そう言う訳で、今晩もここに泊って行ってくれ。」
「「承知しました。ご配慮ありがとうございます。」」
部屋で荷物を解いて一息入れていると、ドアをノックされた。
「ジロー、入るわよ。」
返事をする間もなく、アンちゃんが部屋へ入って来る。その目からは、”どういう事だかちゃんと説明しなさいよ”、という意図が読み取れる。アンちゃん、俺何も悪い事していないんだから。落ち着こうよ、ね。
「私に黙っている事があるでしょう?ちゃんと話してくれるわよね。」
「ハイ。」
悪い事をした訳じゃないのに・・・。
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