第77話
本日は俺が勝手に来ちゃった事もあり、あまりお時間を頂けないとの事。なんかアポ無しで来ちゃった営業マンってこんな気分なのかな。という事で本日の練習はお開きになった。
帰り際に今度宰相閣下にお目通り願いたい、とお願いしたところ、意外にもこれから執務室で会って頂けるそうだ。今後のお稽古の日を決めておかないとね。
宰相閣下の執務室に入室すると、そこには国王陛下もいらっしゃった。俺は慌てて片膝をつき、臣下の礼を取る。テンプレで出て来るあれですよアレ。以前ビーム辺境伯がしていたポーズ。もう土下座じゃなくていいよと言われたので、このポーズにしている。だってカッコイイし。
「では、毎週2の日と5の日の3の鐘の後に来る様に。」
「畏まりました。」
早速家庭教師の時間が決まった。時間が出来たから今すぐ来い、なんて言われなくて済むので予定が立てやすい。有難いこってす。
この世界では1週間は7日、4週間で1か月、13か月で1年となっている。因みに今日は12月2の週の7日である。
また、3の鐘と言うのは大体12時だ。朝6時に1の鐘が鳴って、それから3時間ごとに鐘が鳴る。夕方6時に5の鐘が鳴って、大体の場合はそれで仕事終了だ。お疲れ様でした。
それと、前世と違って決まった休日は無い。具合が悪けりゃ休むけど、基本毎日働くのだ。ただし盆と正月、とは言わないが夏と新年に纏まった休みが貰えるらしい。1週間くらい。まるで江戸時代見たいだね。みんな見てるかい時代劇。まあ、藪入りの話は殆ど出てこないか。
「今日練習をしておりましたところ、エリック殿下は水魔法があまりお得意ではないご様子。」
「ふむ。あの子は真面目な性格だからな。何とかしてやりたいが、何か良い方法はあるか?」
「はい。殿下に泉をご覧頂きたいと存じます。滾々と湧き出る水を見れば、・・・」
「イメージし易くなるという事か。」
「仰せの通りにございます。」
という事で泉見学ツアーを開催する事になりました。王都を出てすぐの所に王家が管理している森があり、そこに泉が湧いているという。次回は課外授業かな。
「ところで、ジロー。お前に聞きたいことがある。」
「何でございましょうか?」
「お前、3元素の魔法が使えるのだな?この前着火の魔法を使っておったろう。」
「申し訳ございません。隠していたわけでは無いのですが。」
「良い。責めている訳ではない。3元素も使えるとは素晴らしい才能ではないか。して、土魔法はどうなのだ?」
あー、どうしよう。正直に言うべきか、ごまかすべきか。
「陛下。冒険者の手の内をあれこれ詮索するのはマナー違反でございますよ。」
「そうであったな。許せ、ジロー。」
「滅相もございません。」
ナイス宰相閣下。土魔法についてはあいまいに出来た様だ。
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