第45話

 現れたのは4人組で”森の狩人”と言う名前のパーティーだった。リーダーはイワンと言う人らしい。

 森の狩人、うーん、何かそのまんまでひねりの無い名前だな。まあ、うちのペアなんて名前すら付けてないしね。


「組合で演説している所を見たから、君たちの事は知っているよ。」

 俺はあなた方の事を全く知らないのですが。でも見るからに堅実そうなパーティーではありますが。

「それで、今までどんな活動嫌がらせしてたんだい?」

 俺は毒や火をかけて食料を駄目にしたり、ミュエーを追い散らしたりした事を話した。


「それじゃあ、今朝の爆発音は君たちの仕業だったのか。その時そのミュエーは捕まえたんだね?凄いじゃないか。」

 理解が早くて助かります。

「アレをもっとやれば、帝国の奴らは大混乱になるんじゃないか?」

 アンちゃんと同じ事を聞いて来るが、条件が難しく下手すると自爆攻撃になってしまう事を説明した。

「難しいもんだな。」

 イワンはちょっとがっかりした様子だった。


「俺たちなんて大した事出来てないよ。矢を射かけて10人くらいずつ森に誘い込んで、罠にはめる位さ。場所を変えながら10回くらい繰り返したら相手に警戒されちゃってさ。あんまり追って来なくなってどうしようかと思ってたところなんだ。」

「じゃあ、俺たちが知らずにこのまま進んだら・・・」

「罠に嵌ってたかもしれないね。そこら中に仕掛けてあるから。」


 あっさり怖い事言われた。ここで合図を送って待ってて良かった。運が良かったよ。ひとまず、罠を避けながら彼らの拠点に案内してもらった。


 森の狩人はその名の通り、普段は森の魔獣を駆除する仕事を請け負っているらしい。魔獣だけじゃなくて普通の獣も狩るのは得意なので、食料はここで狩りをして現地調達いるとの事。焼いたお肉を分けてもらいました。

「美味しい~。」

 アンちゃんが大きな肉の塊に齧り付いている。良く食べるね、この子。食べる時は幸そうだ。

「その肉には森で取れるハーブを擦り込んであるんだ。」

後で作り方を教えて貰おう。


 その時、突然俺たちが連れて来たミュエーが騒ぎ出した。ミュエーの所へ行ってなだめていると、茂みから数頭の魔獣が現れた。魔獣が襲って来たか?


「いやぁ、驚かせてすまん。こいつらは俺たちが使役している従魔なんだ。」

 魔獣を飼いならして使役できる様にしたものを従魔と呼ぶ。アリア様に突っ込まれた知識で知ってはいたが、見るのは初めてだ。急に噛み付いたりしない?

 森の狩人の一人が従魔たちを茂みの奥へ連れて行ってくれた。どうやら餌やりの時間だったらしい。いつもは一緒に食べているのかも知れないな。


*****


 森の狩人チームは状況報告を兼ねて、昨夜一度リンキの街へ戻ったそうだ。その時に組合から聞いた話では王国諸侯軍が近くまで来ているらしい。まあ開戦の噂も流れてたし、王様も準備していたのかも知れないな。もしかすると、こちらから仕掛けるつもりだったとか?


 冒険者俺たちが周りから嫌がらせ攻撃ゲリラ活動をしたのが効いているのか、帝国軍はあまり散開せずに一方向から固まって攻める形になっている。そこは守りが一番固い城門付近で、城壁では散発的に戦闘が起こっているとか。


 もう戦闘は始まってしまったが、もう少し頑張れば救援が来ると思うと何だか頑張れそうな気がしてくる。人間って不思議。

 そして俺は後ちょっと頑張るために森の狩人にある提案をしてみた。

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