第31話

「おはよう。」

「・・・おはよう。」


 昨夜は結局一緒のベッドで添い寝する事になったのだが、少しうとうとしたくらいで殆ど眠れなかった。やっぱり気になっちゃうでしょ。アンちゃん思ったより柔らかいし。いや、間違いは起こしてないからね。寒いから二人でくっついていただけだからね。


 農村の朝は早い。俺たちも起き出して身支度をすると、村長さんに挨拶をして村を出た。


 街へ帰って来ると何か騒がしい。城門のいつものおっちゃん兵士が見当たらなかったので、俺たちは冒険者組合で理由を聞く事にした。依頼達成の報告もあるしね。


「隣国が正式に宣戦布告してきたのです。」


 それで、街から避難する人と戦うためにやって来る人でごった返しているのか。お姉さんありがとう。


「それでジローはどうするの?街から避難する?」

「アンナはどうするの?」

「私はレイウス流剣術の修行の身。もちろん戦うわ。ジローは無理しなくて良いのよ」


 昨晩俺の正体を話したせいか、ちょっと話し方がくだけた感じになったな。おっさんはより親しくなれた様で嬉しいよ。


「俺も残るよ。俺たちペアを組んでいるんだろう?」

「本当に無理しなくて良いのよ。」

「アンナが前衛で、俺が後ろから援護する。いけるだろう?」


 アンちゃんは嬉しい様なほっとした様な顔をしている。


「ありがとう。」


 お礼まで言われちゃったよ。アンちゃんは良い子だね。


「さて、物があるうちに必要なものを買っておこう。」


 俺たちは市場へ向かう事にした。必要なものは大体買い揃える事が出来たが結構ぼられたな。品不足で物価高騰してるから仕方ないか。


 買い物だけして、俺たちは早めに宿へ帰って来た。何せ昨夜はあまり寝てないからね。未だ寝る時間には早いが俺は焼酎のお湯割りを飲んで、さっさとベッドに潜り込んだ。寒い時は焼酎のお湯割りがいいね。



(・・・ジローさん、ジローさん。)また夢の中で女神様に呼ばれている気がする。


(ジローさん、戦争に行っては駄目よとお願いしたではありませんか。)

アリア様だった。


(何故です、何故私の言う事を聞いてくれないのですか。私がこの世界の女神ではないから・・・)

違いますよアリア様。私はペアを組んでいるアンナの修行の助けになりたいのです。


(それは私のお願いよりも重要な事なのですか?)

申し訳ございません、アリア様。しかしながら、こちらの世界で生きて行くにはアンナは必要な存在なのです。


(でもあなたが死んでしまったら・・・こーちゃんに会えなくなってしまう)

結局そこですね。


(こうなったら私が与えた加護のうちの一つの封印を解いてもらいます。こーちゃん、。)


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