第14話

「この薬草は効果が高いのですが、今品不足で困っていたところなんですよ。」隣国との小競り合いが原因らしい。段々激しさを増して来ていて、そのうち本格的な戦争になるかも、との事。もっと平和なところへ来たかった。


「こっちの魔石はステップウルフですね。1個だけですか?」

本当はもっとあるのだが、1個だけ出してみて様子見である。

「ええ。この街に来る途中で偶然1頭の死骸をみつけまして。」

兵士さんにも同じような事を言ったな。ボロが出ない様にしておかないと。

「ステップウルフは普通20頭くらいで群れを作るので、襲われると厄介なんですよねぇ。死骸見つけたのは運が良かったですね。」

世間話をしながら、あんちゃんは事務処理をし、金額を出してくれた。


「薬草の方は値上がりしているので銀貨6枚魔石は銀貨1枚で、合計銀貨7枚ですね。銅貨も混ぜておきますか?」

 俺は銀貨5枚と銅貨100枚を受け取った。寝床に敷いていた草なんだが、アレ。トゲトゲは痛いから捨てて、残ったやつを敷いて寝てた。暇つぶしに鑑定してみたら、薬草が混ざってたんだよね。


 ついでにこの世界のお金についても聞いておこう。どこへ行ってもお金の知識は必要だよ。

「私、田舎の村から今日この街に着いたばかりでして。お金ってほとんど使った事が無いんです。村では物々交換でしたから。」あんちゃんの説明によると、銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚らしい。ちょっとした買い物は銅貨で支払うそうだ。


 あんちゃんにお礼を言って、次は4番窓口へ行った。お役所めんどくせー。

「冒険者試験の申込みですか?」

こっちの窓口ではお姉さんにジロジロ見られた。まあ、くたびれたおっさんが冒険者になろうって言うんだから不審に思われるのも仕方ないか。でも無職よりは良いだろう。無職、世間体が悪いもん。


「ではこちらの用紙にお名前を記入してください。えっと、字は書けますか?」

字の上手い下手は別にして、女神様から頂いた能力で字も書ける。まあ名前書くだけなんだけど。

「それでは受験料は銀貨1枚になります。試験は4日後の朝2の鐘から開始ですので、それまでにここへ来てくださいね。」

受験会場が組合事務所で良かった。初めて来た街だから、別の場所だと辿り着けない可能性もあるし。


 その後受付のお姉さんから冒険者について一通り説明を受けた。この世界の冒険者は尊敬される様な存在らしい。ゴロツキがなるんじゃないんだね。テンプレとちゃうやん。職業に貴賤が無くて良かった。

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