第15話

 お金の数え方は分かったけど、実際の価値はどの位なんだろう?そう思った俺は市場へ行ってみる事にした。もちろん場所は受付のお姉さんに聞いたのさ。


 市場には肉、野菜、果物などの食料品から日用品まで色んなものが売られていた。適当に露店を冷やかしながら見ていくと、大体銅貨1枚は前の世界の100円位らしい。今は戦争が近いって言う噂で値上がりしている物が多いらしく、平均で以前の2倍の値段になっている様だ。そう考えると意外と良い値段で買い取ってもらえたな。


 今回は特に何も買わずに、宿屋へ行く事にした。こっちは兵士のおっちゃんにお勧めを聞いておいた。(おっさんにおっちゃんって言われるおっちゃんって・・・)人が集まって来ているので、宿は早く押さえた方がいいらしい。


 行ってみると割と小ぎれいな宿で、素泊まりで1泊50銅貨、1食付きで60銅貨との事。前世で出張に使っていたビジネスホテルもこの位の値段だったはず。ひとまず1食付き10日分を前払いして、銀貨6枚支払った。因みに食事は朝でも夜でも良いらしい。

 そう言えば、今日は何も食べていなかったので夕食を頼んだ。出てきた夕食は毎度おなじみ水炊き、ではないがキャベツの切れ端と肉がちょっと入った様なスープ?と固ったいパンだった。材料費高騰のおり、仕方ないか。でもスープがちょっと塩っ気がしたのが嬉しかった。なんて言っても今まで水煮だったからね。明日市場で塩買っておこう。


 夕食を堪能?した俺は部屋へ戻った。ベットと小さなテーブルがあるだけのちんまりした部屋だが、どうせ寝るだけだし荷物も無いし何問題は無い。寝酒に一杯ひっかける事にした。今日は何飲もうかな~。


 そう、俺はビール以外にも酒を出す事が出来る様になっていたのだ。もちろんビールも”とりあえず生中1つ”と頼むほど大好きなのだが、ほかのお酒だって愛してる。魔法はイメージだ。前世の記憶が薄れる前に思い出せるだけの酒を造っておいた。一度魔法が完成?成功?してしまえば、あとは強く念じれば出てくるのだ。


 今日は日本酒にしよう。そう思って、俺は収納から日本酒の徳利を取り出した。日本酒と言っても色々なタイプがあるが、今回は端麗辛口にした。最も俺はソムリエではないから、そんなに銘柄別に言い当てる事なんて出来ない。窪田とか脱歳とか限定して作れる訳ではないのだ。訳では無いのだが、そこは魔法だからね。俺が(いい様に)イメージした通りに出来てしまうのよ。便利。


 ほろ酔い加減になった俺はベットに潜り込んだ。ベットはいいなぁ。地面よりずっとイイ。そして俺は眠りに落ちた。

(・・・ジロー、ジロー。)何か夢の中で呼ばれた様な気がした。




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