第9話

 日没から程なく眠った俺は、夜中に1回目が覚めたものの夜明けと共に起きた。今日も元気ハツラツ気分爽快である。女神様と共に肝臓に感謝。ありがとうございます。


 土塁の一部を崩して外に出てみると、何やら堀に落っこちて串刺しになっているヤツがいるじゃないか。鑑定してみるとステップウルフと言うらしい。やっぱり居るんじゃないか野生動物。陣地を作っておいて良かった。異世界危険。まあ、元の世界だってその辺で寝てたら別の意味で危険だけどね。おやじ狩りとか。置き引きとか。


 5頭程堀に落っこちて串刺しになってるけど、こいつらどうしようかな。鑑定結果では食べられない事は無いらしい。でも持って行く手段をどうしよう。先ずは回収しようか。堀の底のトゲトゲを消して、崩した土塁を使って底へ下りられる道を作った。


 5頭を引き上げる。結構重いなコイツら。その後土塁を崩して堀を埋めておいた。環境破壊イクナイ。地面はほぼ元通りになった。草はそのうち生えるでしょう。生命力おう盛そうだし。


 ウルフをもう少し鑑定してみると、喉の辺りに魔石があるらしい。こいつ等魔獣だったんか。鑑定さんによると、簡単に言えば魔石があるのが魔獣で無いのが普通の動物らしい。詳しくは後で人に会えたら聞くとしよう。


 でもどうやって魔石を取り出したら良いのか。草刈りした時の仮称ウインドカッターだと真っ二つになっちゃうし、そんなに精密に制御できそうにない。考えた末に思い付いたのは昨日作った磁器製カップの応用でセラミックスナイフを作る事だ。


 ナイフは思ったより簡単に出来て、切れ味も良かった。喉から魔石を取り出すと同時に血管を切って血抜きもしておいた。イモよりはましな気がするけど、こいつらをどうやって持って行くかだな。1頭でも持って行くのは大変そうだ。


 こんな時にお役に立つのが毎度おなじみ魔法です。ラノベでも収納魔法とかよくあるしな。よしイメージだ。”こいつらをしまうための空間よ開け、開け、開け・・・”念じていると、突如空間にぽっかりと穴が開いた。そしておなじみのアナウンス。『酒魔法:収納を覚えました』なんで酒魔法なんじゃーい?一人ノリ突っ込みした後で、1頭放り込んでちゃんと取り出せるか試してみた。結果問題ありませんでした。


 どの位の広さがあるのか良く分らないけど、ウルフ5頭と手荷物類は収納出来た。手ぶらになって楽チン。念のためセラミックスナイフだけ持って歩く事にした。

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