第8話

 水筒みたいな入れ物が良いのだけど、構造が難しそうだな。魔法はイメージ。明確にイメージ出来ないものは作れない。諦めてもっと簡単な構造のものにしよう。よし、徳利とっくりだ。時代劇で悪役の浪人が良く徳利から酒飲んでる場面があったよ。今はテレビで時代劇やらないって?おっさんの子供のころは良くやってたんだよ。今でもBS放送でやってるぞ、多分。今度じいちゃんばあちゃんと一緒に見てみ。意外とハマるかもよ。


 ”浪人が持ってるような徳利、徳利”と念じていると、何かできた。今度は陶器製の様だ。何故かコルク?の栓も付いている。何でもアリだな、魔法万歳。コーラス様ありがとうございます。女神様にはよくよくお礼を言っておかないと。何しろ心を覗かれているかもしれないし。とその時頭の中でアナウンスが聞こえた。『酒魔法:徳利を覚えました』徳利って土魔法で出来たんじゃないのかよ。酒専用かこの徳利?試してみたらちゃんと水も入りました。


 てな事をやっていたら段々と暗くなって来た。そう言えば(主に)ビール飲んだだけで固形物食べてないな。腹減って来た。確かイモがあったはず。このままでも食えるのか?でも、”イモ。茹でると美味しい。蒸かすとより美味しい。焼くともっと美味しい。”だったよね。蒸かし器なんてないし、焼くと俺も焼死体になりそうだからやめておこう。やっぱり茹でるが無難だね。水もビールも冷たかったから、温度の調整が出来るんじゃないかな。でも初日でもう疲れたし、これから鍋とか作るの面倒だし。生のままでもいいや。先ずはビールを用意してっと。徳利からカップに注いでキューっと飲んだ。


「くぅ~」手から飲むより一万倍美味いや。イモも軽く洗ってから齧ってみる。食感はガリガリだし、味はほとんどしないし、正直美味しくは無い。食あたりとかしないかなとも考えたけど、そこは最強の肝臓が何とかしてくれるでしょう。してくれるよね、ね。イモは美味しくなかったので、主にビールを飲んで腹を膨らませた。


 陽が落ちると星空は奇麗だったがほとんど真っ暗闇だ。する事も無いしほろ酔い加減だし、寝よ寝よ。ちなみに、夜中にトイレ・・・は無いけど催して来たので、隅っこの方へ這って行って穴を掘ってその中へ用を足した。穴は埋めておいたよ。こうして異世界1日目が終わった。


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