第7話

 俺はなるべく地面が平らなところを捜して、良さそうなところを見つけた。今日はここで休むとしよう。

 次にやる事はやっぱり魔法の訓練だよな。水魔法は使えたし、ほかにも何か使えるんじゃないだろうか。定番で言えば、火・水・土・風あたりだよな。酒魔法は嬉しいけど、使い道微妙だしなぁ。


 俺は風魔法から試してみる事にした。いきなり火魔法から始めて火事になったら死んじゃうからね。それに試してみたい事もあるんだ。イメージは草刈り機の回転鋸刃だ。それを正に草を刈る様に飛ばす。へその下辺りに意識を集中しながら呼吸を整えて、えいっとやれば草は根元から切れて横倒しになっていく。結構うまくできたな。


『風魔法を覚えました』といつものアナウンスが聞こえた。才能が有るのかもしれん、俺。ちょっとうぬぼれながらも草を集める。そう、この草は今夜の簡易ベットなんだ。いくら平らに近いと言ってもやっぱりデコボコして寝ずらい。さっきうたた寝して身に染みた。そこで草を敷こうっていう魂胆だ。これでちょっとは寝心地良くなるだろう。


 お次は土魔法かな。先ずは穴でも掘ってみよう。バケツ1杯分くらいの穴を掘ってみる事にした。するとバリバリ音を立てながら穴が掘れた。音は多分草の根がちぎれる音なんだろう。そして穴の横にはバケツ1杯分くらいの盛り土があった。掘った土はどっかへ行っちゃう訳じゃないのね。そして最早おなじみのアナウンスが聞こえた。『土魔法を覚えました』


 何回か掘ったり埋めたりしてみたが、この掘った土で何か作れないか考えてみた。これから暗くなって眠っている所を野生動物に襲われたのではたまらない。へいの様なものは作れないだろうか?塀で囲んでおけば酔っ払って寝ていても安心だしね。試しに作ってみると、衝立ついたての様なものが出来た。まあバケツ1杯分の土だとこんなものか。


 俺は寝床に決めたところの周りを囲むように幅2m、深さ2mくらいの穴を掘って回った。掘って出た土で高さ2mほどの土塁どるいが出来た。こりゃちょっとした防御陣地だね。まあ何が居るか分からない土地なので、用心に越したことは無いよね。あ、因みに堀の底にはトゲトゲを生やしておいた。念のためだよ、念のため。


 さて今夜の宿はちょっと狭いけど、元々住んでいた部屋も狭かったので気にするほどの事もない。出入口のドアは無いが些細な事だ。それより試してみたい事があるんだ。ラノベでは良く土魔法でカチカチの石見たいなものが出来るじゃない。俺の作った土塁も突き固められた感じだけど、もっとこう硬質なものができないかなと。コップとかあったら便利じゃない。


 やっぱりここはイメージ、イメージ。硬くて薄くて磁器みたいなコップ、コップ。念じてたら出来ちゃったよ。コップと言うよりコーヒーカップみたいな感じ。これで手から水を飲まなくてもすむは。今度はどうせなら毎回水を出さなくて済むように入れ物を作ろう。

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