第6話

 俺は後悔はしないが反省はする男だ。前回死んだ原因の飲み過ぎ対策のために、超強力肝臓貰ったしね。今のところ役に立ってないけどね。


「やっぱりバーっとが良くなかったんだろうな。」考えた末、顔を洗う時に両手で水を掬う形にしてそこに水を溜めるイメージにした。イメージは大切。

 ”水よ”と念じると、今度は掌に水が出てきた。どこから出てきたとか考えたら負けだ。とにかく結果さえあればイイんだよ。やっと水を飲めて一息つけた。


 相変わらず日陰もなく、日差しは眩しいと言うより暑いくらいだ。前世だったらビールが欲しいところだ。休日の昼から飲むビールは何で美味いのだろうか。昼飲みサイコー。と、下らない事を考えていたら、何か掌で泡がぶちぶち弾ける感覚がする。


「ん?」

 と掌を見てみると、さっきまで水が溜まっていたところに今度は何やら黄金色の液体が溜まっている。これはもしかして、「ビールだ!」一口飲んでみた俺は思わず叫んでしまった。頭の中で『酒魔法:ビールを覚えました』とアナウンスされた。そんな魔法あるんだ。イメージ超大切。ありがとうございます。コーラス様。


 喉が渇いていたせいもあり、結構な量のビールを飲んでしまった。3ℓくらい。だって好きなんだもん。歩き疲れた事もありちょっとほろ酔い加減になって、俺は草の上に横になった。眠るつもりはなかったけど、ちょっとうたた寝してしまった。


 どの位眠ったのだろう。時計が無いから時間が分からないけど、太陽の位置はあまり動いていないようだ。10分位かな?でも元気はつらつ気分すっきりである。俺の超強力肝臓はもうアルコールを分解してしまったようだ。ついでと言っては何だけど、尿意を覚えた。アルコールって利尿作用があるんだっけ。喉が渇いたときにお酒飲んでも逆効果、みたいなことをネットで見た記憶を思い出した。


 俺は用を足して、それからもう一度水を飲んだ。(水飲む前にはちゃんと手を洗ったよ。)よーし休憩もしたし、また山に向かってレッツゴー。と言っても俺一人だが。


 歩きながら俺は考えた。何を?決まっているじゃないか。ビールをもっと美味しく飲む方法だよ。アナタ自分の手に注がれたビールを飲んだ事がありますか?ちょっとおかしなシチュエーションでしょ。大体、自分の体温ですぐぬるくなっちゃうし。グラスなんかが作れれば良いのだけど。


 山はまだまだ遠く、何処までも続く大草原。ホントどこまで続いているんだよ。景色変わらねぇよ。見飽きたよ。女神様情報によると魔獣なんかもいるらしいけど、ここまで動物らしきものは見かけてませんよ。草原なんで草しか見てない。何種類かあるようだけど、あとで鑑定してみようかな。


 今日中に山のふもとへたどり着けそうにないし、まだ明るいうちに適当なところに寝床を確保しようかな。

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