第4話
気が付くと俺は草原に立っていた。それほど背の高い草も樹も生えていない。原っぱだ。いきなり砂漠とかジャングルとかじゃなくて良かった。いきなりシビアなところに送られたら直ぐに詰んじゃうよ。俺、普通のおっさんなんだし。コーラス様ありがとうございます。感謝の心は必要だよね。
先ずは今の状況を確認してみよう。体は山田次郎の時とあまり変わりはない。いつも仕事でぐったりしている事を考えれば、元気ハツラツ気分爽快。少し若返った様な気持ちだ。衣服は地球で言う所の綿の様なものなのだろう。何かの植物繊維で出来た上下の服と、裸足ではなく靴も履いていた。良かった。現代人は靴が無いと歩けないからね。小石とか踏んだら泣いちゃうよ。
他に持ち物は、っと。中くらいと小さ目な巾着袋が足元に落ちていた。中くらいの方の中身を見てみると、「イモかな?」食べ物の様だ。20個位入っている。
「そうだよ。鑑定、鑑定。」折角頂いた能力だ。使ってみないとね。
”イモ。茹でると美味しい。蒸かすとより美味しい。焼くともっと美味しい。”
どうやらイモらしい。そのまんまだった。レベルとかあるか知らんけど、慣れてきたらもうちょっと詳しい情報が分かるのかな。
次は小さい方の袋の中身を見てみた。こっちはお金みたいだ。やっぱり一文無しは寂しいもんね。それにお金があるという事は、それなりの文明の国があるのだろう。原始時代じゃなくて良かった。見た目で、金貨、銀貨、銅貨、石?が入っていた。石を鑑定してみると魔石と出てきた。売ればお金になるのかな?数を数えてみると、金貨4枚、銀貨17枚、銅貨9枚、魔石3個だった。うーむ、このばらけ様。コーラス様、適当につかんで放り込んだって感じだな。
(失礼な。)
突如コーラス様のお声が頭に響いた。
(お前にタグを付けたって言っただろ。時々こうして意思疎通が出来るんだよ。ちゃんと私に祈りを捧げなさいよ。良い事あるから、多分。)
承知しました、毎日祈りを捧げます。捧げますが、そこはきっちり良い事があると言い切って欲しかったです。
とりあえず状況確認も済んだし、ボッチで暮らす訳にもいかないので人の居るところを目指すとしましょう。今いるところは原っぱで何もないですが、町は川などの近くに出来るはず。目を凝らして辺りを見回してみると、遠くに山らしきものが見えました。山 → 水源 → 川 → 町 という単純な発想で、山が見える方角へ行ってみる事にした。
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