第3話

(こーちゃん)

涼やかな声に気が付けば、先ほどお会いした女神さまがおわした。

(なっ、アリア。てか、こーちゃんは止めろ。)

コーラス様、ちょっとあせっているご様子。


(どうやってこっちへ来たんだよ。それに向こうは放っておいて良いのか?)

(うふふ。こちらのジローさんに私のタグを付けたの。それを辿ってここへ来れたわけ。それに、少しお話する位の時間ならあちらの世界も何も問題ないわ。)

(これって結構グレイゾーンなんじゃないか、アリア。)

(あらいつからそんなに真面目になっちゃったの、こーちゃん。昔見たいにあっちゃんって呼んでよ。)


 なんかカオスになって来た。暫く空気になって黙ってお話を聞いていたところ、神様が世界を移動するのはあまり宜しい事ではないらしい。また、無限と言って良い程ある世界がぶつかる事も極々稀にしか起こらないらしく、俺みたいに世界を移動するなんて事は天文学的に低い確率らしい。


(だからこのチャンスを生かしてタグを付けたのよ。)

(狙ってたな、お前。)

(お前じゃなくて、あっちゃん。)

アリア様って意外とヤンデレな女神様なんだろうか?と話を聞いていくうちに凡そ二柱の関係が分かって来た。


・アリア様とコーラス様は幼馴染

・同じ学校に通っていて(神様にも学校ってあるんだ)アリア様は成績優秀だけど友達が少なく、どちらかと言えばいじめられっ子だった。

・コーラス様は見た目通りガサツと言うか大雑把な方らしい。成績は推して知るべし。

・ある時、アリア様がいじめにあっていたところに出くわしたコーラス様が、相手をぶん殴って追っ払ったらしい。それから二柱は仲良しになった。(と言うか、コーラス様がアリア様になつかれた、が正解の様だけど。)


(大体あっちゃんの成績ならもっと良いところへ行けただろ?なんであたしの隣にきてるんだよ。)

(だって、こーちゃんのそばが良いんだもん。)

(こんな辺境の世界がかい?)

元々俺の住んでいた町は田舎の方だったけど、世界も田舎だったんだ・・・


 女神様達がお話されているところで、突如ベルの音が鳴り響いた。

(あ、いっけねー。早くコイツを送らないと魂もろとも消滅しちまう。)

俺の存在忘れてましたよね、コーラス様?

(アリアがタグ付けちまったから仕方ねえ。私のタグも付けといてやるよ。)

(あのー、先ほどから仰っているタグとは何でしょうか。)

(あーもー時間が無いんだ。そのうち説明してやるよ。)

女神様方の雑談を聞かされてろくな説明も受けず、俺は下界に送られた。

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