第14話 警告文
紙には
「値上げの商品増加、生鮮野菜の高騰、各デパートの福袋の案内広告、目玉商品は、破れていてわからないけど、の毛皮…」
「お父様これは、ただの広告ではないでしょうか?」
「いやいや、調べる価値ありだよ」
「えっどこを?」
「破れてるところの毛皮、めちゃくちゃ怪しいでしょう。あと、福袋ってアイテムぽいよ」
そうかなぁ?
とりあえず、お母様とお茶をして今日買ったお菓子を食べよう。しかし本当に日本語が本以外にあるなんて、まさか印刷する人が転生者で日本語忘れないようにやってたりして。
お母様にお父様は、変な物に夢中だと話したら、昔、一冊の本もページも捲れない何語かもわからない本に夢中だったことを話された。
「お父様」
魔法の使い方って書いてあるんだもの、使ってみたいよね、そりゃもちろん。
うなづいていると、お母様は、私に
「お父様に似ているわね、変わっているところ」
と言う。どういう意味かしら。全く、私ならすぐ諦めるけどね。
お母様はクスクス笑った。
その日、お父様は、夕食にも顔を出さずひたすら解析をしていた。
朝になってやっと姿を見た。
疲れきったその顔は、きっと何もわからなかったのだろう。執事が
「昨日購入された芋ですが、料理長が使っていいですかと聞いてますが」
と言い、お父様が
「使っていいよ」
と答えた。
私は、もう一度、
「値上げの商品、生鮮野菜の高騰で芋」
なんの気もなく言った。お父様も
「値上げで野菜の高騰、芋」
…
「「まさか」」
私達は立ち上がった。
最悪のことが浮かび上がった。それはここで言う台詞ではない。
「お父様、用心をするべきかもしれませんね」
「そうだね、料理長には悪いが、あれは、種芋にする。領地に運んで農村で育てるようにして欲しい、いやもうすぐ領地に戻るからその時に配ろう」
当たらないで欲しい。芋がたくさん出来るならそれはみんな幸せでお腹が膨れるならいい。
「警告文の可能性があるな」
「そうですね。ナタリア王女が帰国されましたよね。偽物との関係にショックを受けたと。掘り返せば、マゼラン侯爵ですよ。お一人で王子誘拐監禁って、ありえなくないですか?デマルシア帝国…疑いたくなりませんか?」
「確かにな、流れ的には黒幕ぽいなぁ。しかし伯爵ごときが動けない」
とお父様は言った。確かにそうだけど、
「もしあれがアイテムとするなら」
と言えば、お父様は
「もしかして食べたら何かの力に目覚めるとか」
まだ諦めてなかった?苦笑いだ。
ただの被せてあった紙。ぐちゃぐちゃで切れていて。
夢であの子はなんて言ったかしら?
あの夢を見た時、慌てて書いた紙をみる。
魔法は買える
ヒロイン選べる
ミッション
アイテムはヒント
あの紙がアイテムまたは、ヒント?の可能性はあるのかしら。
そんなことを思いながら、私は、毎日を過ごし、今日お父様と領地に行く。今回もお母様は領地にはいけない。ジョーゼルが二日前に熱を出したし、まだ赤ちゃん、無理は禁物。
2週間領地で過ごす。お母様とジョーゼルに別れを告げ出発する。伯爵家なので、王都から遠いと思いがちだが我が家は、公爵家と侯爵家の隙間の領地で王都から一日もかからない。朝出て夕方前には着く。
お昼ご飯は、トルネス公爵領で食べる予定だ。
「お父様、新たな発見ありましたか?」
「うーむー、ない。…だけど切れている毛皮って気にならないか?アイテムぽいよ、一応貿易しているところや商会には不思議な毛皮があったら譲ってと言ってある」
「毛皮ですか?」
確かに一番アイテムぽい。芋よりは。今回、もちろん芋を積んで来た、種芋として栽培してもらう為に。
お父様は、馬車の中でも仕事をしていて、ガルバン共和国の文字が見える。
「お父様、ガルバン共和国ってどんなところですか?」
と聞くと、お父様は、
「この国は、鉱物資源が豊富な国で、我が家とは昔から銅や銀を中心に取引しているなぁ。まだルイーゼはガルバン共和国に行ったことないな。冬の休みには一度一緒に行ってみようか。そう言えば、あの魔法の本もガルバンに行った帰り道の宿地でたまたま覗いた店だったな」
「アイテム探しですね」
と笑った。トルネス領に入って大きな街ダラスで昼休憩を取る。ここは、ビーフの煮込み料理が美味しい。そしてデザートも楽しみだ。
ダラスにつき、馬車停留場で降りると、サリバン様とトルネス公爵様、そしてアリサ夫人が迎えてくれた。サリバン様には弟がいるはずだが、今日はいなかった。
「ようこそトルネス領へ」
なんて言ってわざとらしく手をつけてお辞儀する。
しかしここは、合わせて、
「さすが、トルネス領街は、大きく豊かですね。人の通りも多くて賑やかで楽しそうです」
と言うと、サリバン様達も笑った。
みんなで食事を取る為に待っていてくれたらしい。
理由はわからないが、護衛を連れてぞろぞろと大名行列みたいだ。
選択…その結果だろうか?
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