第13話 アイテム探し
本日は、終業式で、明日から夏休み。こっちも夏季休暇はしっかりある。
そしてあれから、私のお父様も逆課金というアイテム探しに協力してくれる。
「こっちでアイテムを買うね、アリだねルイーゼ。それこそ転生者に有利な方法かもね」
とお父様は、私の話半分で、めちゃくちゃ頷いている。未だに座禅をして気をためる訓練をしていると聞けば、魔法使ってみたかったんだなぁと思うし、次の作成者さんがどんなアイテムを出しているかが、興味深々なのだろう。
なので次の市の日は、お父様と朝から骨董品を目的として回る予定で私も楽しみだ。
朝、まず生徒会に寄って終業式の後の予定表を見に行くと、
「ルイーゼ嬢、楽しそうだね」
とフリップ王子様から声をかけられた。
「はい、お父様と次の市に行く予定なんです」
「へぇーこっちは執務が凄い量あるっていうのにいいね、楽しそうで」
とフリップ王子様は遠い目をしていた。サリバン様は、こっちを見るなっという感じでシッシッと手でやってから、
「私だって執務手伝っただろう。まだまだあるけど。もう少し人数増やせ。私は、夏季休暇は領地経営を学ぶ。フリップが王子としての責務をするように、私も仕事はある。遊んでいるのは、ルイーゼ嬢だけだ」
と私に話題を戻した。
「いえ、私も宿題はありますし、お二人の分も夏の生徒会の仕事はやります」
「生徒会の仕事って秋の文化祭の準備と1日生徒会室の整理と掃除だろう、大した事ないよね」
とサリバン様は呆れていうが、整理も掃除も結構大変だと思うよ。
「まぁ、ルイーゼ嬢は夏を楽しんで」
とフリップ王子様も含みのある言い方で私に言った。
「何かしら?なんか企んでいるんですか?」
と聞くとフリップ王子様は、別にと書類に目を通していた。
教室に入れば、ざわざわとこっそり話し出す。
小さな声で
「おはようございます」
というが、誰も答えてくれない。それは、そうだろう、逆恨みで私の母が悪徳令嬢なんて言われ、ミリナさんのお母様に狙われて、魔法を使って化け物って言われるんですもの。
あぁ、そうか私、化け物ってキャラも乗ったのか。
と変に冷静になる。
魔法って誰しも使えるわけじゃない。化け物って言われても仕方ないんだと知った。
小刀曲げたら、怖いよね。
課金で買ったとしたら、何故この魔法なのか、前の私の馬鹿。
終業式は何事もなかったが、学年関係なくあの事件のせいで、私は見られて注目された。その視線を遮って、私と並んできたサリバン様に話しかけられた。
「魔法はあまり見られてないと思う、何があったかわからないだけだ。気にするなは無理だろうけど、近づく奴には気をつけろよ。ボーゥとしたらまた誘拐されるぞ」
「サリバン様が言うと本当になりそうで怖いから、冗談でも言わないでください」
と言うとサリバン様は、笑った。
そして何事もなく家に帰れてホッとした。少しだけ何かあるのではと緊張はしていた。
この話をお父様に言うと、
「確かに、もういろんな意味で主要メンバーに入っているよ。気をつけた方がいいね」
「主要ってそんな主役級の扱い私には荷が重すぎます」
と言えば、また楽しげに笑うお父様だった。
そして数日経ち、お父様と楽しみにしていた市の日がやってきた。
「ありますかね、アイテム」
と言えば、お父様もワクワクしているようで
「今まで、見逃していたかと考えると残念だけど、骨董品かなぁ。こういうときに判定や識別の魔法があればいいのにな」
「いやいや、あえてそんな便利魔法無しで、お金を使わせようと結構ガラクタ混ぜていたりして」
「それは…会社の経営だな。作成者にそんな意図はなしと信じたい」
「お父様ってかなりの割合でゲームを作る側に意識傾いてますよ。本当にゲームを楽しんでいる」
「ルイーゼ、まさかって思わない?この今を。また次生まれ変わって、この経験を活かしたエンタメを作れたらって考えたらワクワクするな、僕は」
「そうなんですか?私は今を生きるので精一杯です」
遠い未来の話も当たり前に出来るのは、前の自分を知っている者同士だからだろうか。未来に馳せる思いも今を楽しんでいるのも、考えてみると我が家は、伯爵家なのに裕福なおかげだ。やっぱりお父様のおかげなのだ。
「どうしたルイーゼ急に笑って」
「なんでもありません」
今回の目的は、骨董品。
壺や剣に盾、小物入れ、花瓶、色々ある。
古いものがそれらしく見えるので困ってしまう。
お父様も手に取っては、首を傾げ、どれも怪しかったり何も感じなかったり。
「お父様、ピーンと来るものありましたか?」
「全く感じない」
「でもお父様魔法の本は、日本語で…」
「まさか日本語」
「わかりません、でもそこにも注目してみましょう、お父様」
探す、ふらふらと次から次に端から端と探す。
しかし見つからず。
「ルイーゼ、すぐには見つからないね」
「そうですね、市も終わりの時刻みたいですし、お母様とジョーゼルにお土産を買って帰りましょう」
王都で有名なお菓子屋とぬいぐるみを購入する。ぬいぐるみのファンシーな雑貨店の隣に、商店があった。何気なくチラッと見たら、大きな籠の芋の上に被せている紙が、日本語に見えた。
「うそでしょう!お父様、大変。まさか本当にあるなんて信じられない」
と言ってその芋を指した。お父様も驚きながらも
「本を見つけた時も驚いたけど、本当にあるんだな」
と近寄って、店主に、
「その芋を籠ごと買いたい」
と交渉した。店主は、
「籠ごとですか?」
と驚いきながら了承した。
思ったよりも大きな荷物になった。馬車で来たので、積荷を想定しておらず、今回もまた、リトマス商会にこの芋を籠ごといや欲しいのは紙ごと運んでもらう。何故かお父様は、馬車には乗らず、荷台に乗り、宝物のように扱う。
家につけば、執事が溜息を吐く。
「旦那様、またおもちゃを見つけたんですか?」
と言いながら。お父様は全く聞く耳持たず、
「ルイーゼ、慎重に紙を外そう」
と言う。この紙がアイテム?
まさか芋ってことはないかなぁ。
紙には
「値上げの商品増加、生鮮野菜の高騰、各デパートの福袋の案内広告、目玉商品は、破れていてわからないけど、の毛皮…」
ただの広告、新聞記事?
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