第4話 Aクラス
あれからお母様の情熱は、新たなる生命の誕生に向かった。しかし考えてみれば、10年前から私は、侯爵家出身のお母様指導の元、教育基盤を築きあげた。伯爵家としては恥ずかしくない立派な令嬢として自信がある。
何故そう思ったのかと言うと私のクラスが
Aクラス
だったからだ。それをお母様に言えば、
「当然ですわね」
と言われ、お父様には
「頑張ったんだね。僕は、いつもBクラスだったよ」
と言う。早く言ってよ、お父様。
入学式の案内も、Aクラスって一番前。
同じクラスには、フリップ王子にサリバン公爵令息、その他令嬢もまさかの隣国の王女様までいるなんて。伯爵家肩身狭いよ、お母様。
クラスでもそんな精神が出たおかげで絡まれずにいる。キツキツに結んだ三つ編みも目立たずにいれるおかげかもしれない。メイドに感謝。フリップ王子の周りには令嬢がたくさんいる。
とにかく、関わらない。
なんといっても私、つまらない女ですから。
そしてAクラス他のクラスより生徒の人数が少ない。きっと警備の問題だろう。
このクラスには騎士団の人が廊下にいる。
王子に王女がいれば、当然かもしれない。
それに王女殿下の側近も同じクラスにいる。万全の警備なのか、王子の方は、護衛騎士の側近が1学年上だけどサリバン様ともう一人赤い髪の令息は、私が以前高位貴族のお茶会に出た時はいなかった。
あれから高位貴族のお茶会には行ってない。
お母様の妊娠がお茶会の足を止めてくれた。
そのため、このクラスに友達はいない。
凄く寂しい。関わりたくない、巻き込まれたくないとは別の感情で矛盾しているかもしれないが、寂しい。
お父様、教えてくれれば調整したのに、と後悔しても仕方がない。休み時間になるたび、教科書を読む。
一週間続け流石に飽きて、図書館に行き、本を借り外のベンチでお昼ご飯を食べる。
王女御一行がご飯を食べ終わったのか、クラスの一団として目立ちながら庭園側を通っている。
クラスの様子を話しながら。
「フリップ王子様とナタリア王女様はお似合いですし、婚約は決まりですね」
「ナタリア様を邪魔するような馬鹿はいなくて良かったですわ」
「そうかしら?フリップ王子は、いつも多くの令嬢に囲まれているわ。学園では、決して私のところには来ないわ、何故かしら?」
「恥ずかしいのでないでしょうか。王子ですし、王女に話し掛けると品格を気にしているとか」
「ふーん。害虫は、排除してね」
「もちろんです。そのために側近を任されていますから」
なんて恐ろしい会話なのだろう。
お父様に報告しよう。
王女一団関わらない、心に決める。
しかし、あれが我が国の王妃になって大丈夫なのだろうか?
考えてはいけない、と思い直し更に持っていた本に力が入り、本がへこむ。
「おっと、大変」
と本を撫でると、木の上から、パンが落ちた。
「へっ?パン?」
「凄い勉強熱心な令嬢だと思ったら怪力令嬢なんだ、びっくりだよ」
「誰?」
「ああ、すまない、隠れていたもので、サリバン・トルネスだ」
「失礼しました。サリバン様、変な声を出してしまい、失礼します」
慌て立ち去る。お父様にも2の可能性、なるべく高位貴族とは接触しないと言われている。万が一にも悪役令嬢の娘も悪役令嬢にされる可能性をお父様に指摘されている。
なので私は、サリバン様がどんな顔で私の事を見ていたかは知らない。
お母様は、赤子のジョーゼルが熱を出し、付き添っているため、お父様と二人の夕食になった。
そこで、王女御一行、かなり怖いこと、害虫排除を伝え、サリバン様に怪力令嬢と言われたことを伝えた。
すると、お父様は、
「排除って怖いな、
ルイーゼ、魔法が使える事は利点だ。もし2があるなら、やはりアクション系のストーリーの可能性が強いな」
「やっぱり」
「ルイーゼの感じを聞いていると物語的には王女は、悪役令嬢だなぁ、ヒロインが別にいてな、そんな感じの令嬢いないのかい?」
「私は、クラスに馴染めてませんので、よくわかりません。フリップ王子はいつも囲まれていますから」
「サリバン君の動きが公爵令息ぽくないな、こっちは少しコネがあるから探るよ、それから何かあったらすぐ言うんだよ、ガルバン共和国との事業も順調だし、いつでもあちらの国に留学は出来る、語学も堪能なルイーゼなら大丈夫だから」
「ありがとうございます。お父様」
と言うとお父様はにっこり笑った。
私には、相談出来る人がいる、これは、安心だし力になると感じた。
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