第3話 転生者の子は、転生者?
毎日気を貯める座禅をやり、腹より少し上あたりが暖かくなるような気がする。
「この感じが魔力なのかしら?」
そしてまたその感覚のまま本を押す。本が柔らかいもののように押されて沈む。
そして私は気づいてしまった。
これって何かに役に立つのかしら?
触れたものを柔らかくする魔法?
沈ませる魔法?
魔法とは科学。
これ、科学なのか。
この本を読んでも、人それぞれ能力差があり、得意不得意とある。出来る事を伸ばしてこの世界を生き抜こうと書いてあった。
転生者として苦労したから、本に残して我々に伝えてくれているのか。
とりあえず実験をする。
誰もいない事を確認して、大きめの岩に気を押しつけるように放つ。岩が沈む。柔らかくなったのか?一応両手で丸くする。大きめのボール型の岩になった。
「しかしこれ、何の役に立つ?魔法は科学ね、確かにこれって超能力系、怪力?まさかね」
柔らかくする能力よねと自身に言い聞かせている。深くは考えないでいこう。そう思った。
だって使えないもの。
とお父様には報告した。あれからお父様も座禅をして気を貯める練習はしているらしい。成果なしと聞いた。
「魔法って超能力みたい」
と言うとお父様は、その発想、転生者ってバレるから気をつけなさいと言って笑った。
「お父様バレると大変なんですか?」
と聞くと、
「前にゲームの世界って言っただろう。転生者は1人とは限らない。僕達が学園で繰り広げていたのは、知ってる者からすれば茶番。気づいた時は、目立だずこっそりを心掛けたよ。サラサに罪を着せようとしていた令嬢が二人いた。もしかしたら彼女達も転生者かもしれないが、事実はわからない」
「何故ですか?」
「それは、今の王妃様のグループを怒らせて領地に静養になったからだよ。僕は男だったし、攻略対象者でもないから」
「王妃様のグループにも居たりして転生者。でも悪役令嬢と結婚した、偵察、一応見られていたりして、転生者に」
と言うとお父様は、サッと資料を見始めた。
「どうかなさったのですか?」
「ルイーゼ、本当だ。10年前から見られている可能性がある。サラサにも聞いてみないとわからないが、突然取り引きをし始めてずっと増えている二家ある。父の代じゃない。不思議だったけどあまり考えてなかったよ」
執務室から出ようとした時、ふと
「転生者の子は、転生者だったりして」
とお父様と目を合わせる。
…
「まさか…ね」
お父様がお母様に色々聞いてくれるはず、心配するのはその後でいい。
机に乗った魔法の使い方が目に止まった。
お父様は、発動しない。本当に2のゲームで魔法を織り込ませた物語展開か。
いやそんな、魔法が入ればアクション系ミッションありか。
とりあえず、座禅をして気を貯めよう。
まず『夢見る君へ』自体未プレイだし、なんとも考えようがないな。
魔法だか超能力かわからないけど発現した意図はあるかもしれない。これが私を救ってくれる手段になる可能性もある。
それを信じていく。気を貯める練習から高めていく練習に変わっていた。無意識のうちにすぐ発動できるように意識した。
また、物を柔らかくするが、何に使える考え始めた。応用があれば安心出来る。
一つ思いついたが、これはない方が良いと思いながら一応庭師の物置で練習してみる。
ゆっくりやれば出来ることに驚いた。
お父様に報告しようと決めた。
そしてその後、お母様からの話を聞いたお父様は、お母様が転生者として疑われていたが、馴れ初めを話した事でお父様が転生者とバレた事を知った。それが、10年前。転生者として何か事業が上手く進むのではないかと我が家の事業に一噛しているとお父様が予想していた。あと、私に高位貴族と婚約を唆したのもその二人だと判明。その二人にも娘がいる。何回かお茶会を一緒にした事がある令嬢だ。意識していなかったので何かされた覚えがない。
お父様がお母様にその二人がお母様を学園生活で貶めようとしていた事、また娘の私にも娘を通してやろうとしている事をゆっくり言ったそうで、お母様は、現在ショックで寝込んでしまった。
しかしお母様は強かった。二日後には、怒りを露わにし、
「子爵や男爵家に嫁いだくせに、私の好意でお茶会に参加してあげたのよ。信じられないわ。ルイーゼあなたにもあの娘のお茶会に参加させてごめんなさいね。もう行くのはやめます。また高位貴族とのお茶会に参加しましょうね」
といつも通りのお母様に復活した。
「は、はい」
とは言ったものの行きたくないのが本音だ。
「つまらない」
結構、この言葉に引っかかっている。
嫌な言葉だ。
それでも学園に入るまで小さな社交界は続く。
我が家にも変化があって、我が家は伯爵家でお母様の実家は侯爵家、お母様のお兄様の息子、私にとっては、従兄弟で何回かあった事はあって、学園に入る頃にはエスコートが必要なパーティーがあるので、一つ年上のエバーソンにパートナーを頼むことになった。
そしてダンスの練習が始まった。
お母様はとても厳しかった。
まるでダンスに命をかけているように。お父様は、
「サラサは情熱的だからね」
いらない、そう言う惚気は一切いらない。
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