第2話 魔法とゲームの世界

むくむくとお父様への疑問、興味が湧いてきた。

お父様が、お母様に悪役令嬢とか断罪って言った事。

何かが引っかかる。

パッと横に魔法の本。

これは物語?家庭教師の先生だって魔法なんて教えないし言わない。

「気になる事は本人に聞きましょう」

と本を押すように叩いた。

すると力が入ったのか、手がめりこむように沈んだ。

「ギャッ」


「いかがされましたか?お嬢様」

と扉が開いた。メイドのリマが顔を出した。

「本の世界に没頭しただけよ、大きな声を出してごめんなさい」

「いえ、ちょうどお茶をご用意しに来ました。お嬢様が驚かれてましてあんな声を出されるなんて」

と笑った。

「変だった?」

「昔に戻ってきたようで、お嬢様は、奥様や家庭教師の先生と勉強なさるようになって大人しく、いえ令嬢らしくなられましたから」

「こうすべきって言われていたから。確かにね、気づかせてくれてありがとうリマ」

と言うと、リマは、

「見目は奥様に似ていますが、話し方や雰囲気が旦那様に似てきましたね」

と言われた。

「そうかしら?」

自分じゃわからないものだ。リマが出ていき、また本と向き合う。

「本が沈むなんて、それが魔法かしら?」

と再度押すが変化なし。

しかしページが捲れるようになった。

「くっついていたわけではないのね」

とまず読みはじめれば、


魔法とは摩訶不思議なもの

魔法とは体内の気をエネルギーにしている

魔法とは科学みたいなもの


一体なんだ、これは?

またわからない。さっきみたいに本に手が沈めばわかりやすいのに。摩訶不思議ってわかる。

先程の状態がわからなくてお手上げだ。


とりあえず、書いてあるとおりに座禅をし、お腹の真ん中に気を溜めるように作る。


全くわからないまま時間は過ぎて夕食になった。

今日はお父様に聞きたいことがいっぱいあるので、すぐに向かう。

そして、

「お父様、お母様に聞きました。悪役令嬢と断罪について、是非私にも教えて欲しいです」

と言うと驚かれはしたが、お母様が急に恥ずかしがって、

「私達の馴れ初めを、少しだけですが、ルイーゼに話してしまったの。まさかルイーゼも興味深々になるなんて、いやだわ、旦那様ごめんなさいね」

とひたすら照れている。なんだか口うるさいと朝思ったお母様が可愛い。

お父様もなんとも言えない表情で

「構わないよ」

と言った。なんだかほんわか優しい気持ちになった夕食だった。そのあと、お茶をして、お父様が

「セントバル学園、ルイーゼも行く予定だけど、私達もそこでルイーゼの代みたいな王子殿下を筆頭に高位貴族と呼ばれる側近の令息達が、学年は違う方もいたけど揃い組だったんだ。婚約者が決まっていた方達もいたし何人かまだ決まってない令息に令嬢達の戦いが凄かったね。サラサ」

「そうですわね、何とか我先に知ってもらおうとか爵位がありますからね、それを無視する方もいましたし、そう言った方の注意をしてましたわ」

「ルイーゼ、もうわかると思うが、サラサは貴族に忠実なんだ。貴族の在り方を知らない人に言えば、それは意地悪だの陰口だの言われてしまう。そして野次馬が囃し立ててますます尾ひれがついて膨れ上がる。悪役令嬢になってしまうとはそう言うことさ、どんどん噂が大きくなっていたから王子殿下に断罪されそうだよって言っただけさ。可哀想にあの頃サラサも噂が先行して影で泣いていたからね」

とお父様は、お母様を見て笑う。

「もう旦那様ったら、恥ずかしいから先に部屋に戻ります」

とパタパタ行ってしまった。

「お母様可愛い」

と言うとお父様も

「そうだね」

と惚気た。

「で、ルイーゼ、目覚めて転生者かい?」

「そうですね、ぼんやり前の私を知っている。こことは違う世界ぐらいです。全くお父様てば、驚かれないのですね」

「そうかい。驚いてはいるよ、さては2が発売されたかと思ったんだけど違うのかな。僕が目覚めたのは、学園に入ってしばらくしてから、伯爵令嬢や子爵令嬢がバタバタしててさ、何かゲームみたいに賑やかだなぁって思ったら妹と一緒にやった『夢見る君を』の世界だって気づいたんだ。で、その時妹が言っててサラサは貴族として当たり前に注意して何で断罪なのって言ってたの思い出して救ったって事だよ」

「お父様、ここゲームの世界なんですか?」

「そうだよ。このゲームやらなかったのにここに来たのか。また王子殿下とかいるし、ルイーゼが雰囲気変わったしで2が始まるのかと思った。ルイーゼが婚約者にもならないだろうし、巻き込まれるようだったら学園休ませようとか思ったんだけど、違うのか」

「学園入学まで1年ありますから、まだ何もないですが、いえ、ありました。書物室で魔法の本」

「ルイーゼあれ読めたの?」

「何とか」

「あれ僕より前の転生者が書いた、転生者に向けた魔法の使い方だよ。もう僕らの時代魔法使いなんてほぼいないでしょう。教会の長とか魔法学教授とか、僕も表紙見て日本語だと見つけて買ったけど、中がくっついて見れなかったよ、どうやって見れたの?」

と聞かれて、魔法の本を叩いて押したら沈んだ事、気のエネルギーとかを話していたら、夜も更けて、また別な日に話すことになった。


魔法の本は、頑張ってやってみてと言い、お父様は楽しげだった。

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