キャラの上乗せが過分です

兎乃マロン

第1話 私、目覚めました

「◯◯ってお堅いというか面白くない、偏屈な女でつまらない」


ハッ、汗が凄い。ここは、ベッド。

今のは、…私?


「何だったの今のは」

違う、昨日、私は、お茶会で聞いた台詞


「ルイーゼ・マリノティオ嬢ってつまらないな」


フリップ王子達が座組みで話してるところを聞いてしまって慌てて帰ってきた。

違う、さっきのは私であって私じゃない。

前の私?


「おはようございます、ルイーゼ様」

と言ってメイドのリマが、朝の用意をしてくれる。

考えがバラバラの頭で食事に行くと、

お父様、お母様に

「体調はもう良いのか?」

と聞かれ、

「はい」

と言えば、

「昨日は大事なお茶会だったのよ。フリップ王子様やサリバン公爵令息、高貴な方達が多いのだから、ちゃんと自分を売り込んできた?」

とお母様が言った。

信じられない、何、売り込むって?ここはキャバクラかとツッコミたくなった。イライラして、

「申し訳ございません。高貴族の方々は、私のことつまらないとおっしゃっていました。私は育ち方を勉強しなおした方が良さそうです」

と案にお前の育て方が悪いと言った。


お母様は、顔を真っ赤にして

「何なんですか」

と怒って部屋に行ってしまった。


すると、お父様がゲラゲラ笑った。初めて見た。その姿に驚いた。

「ごめん、ごめんルイーゼ。君を笑った訳ではないよ。サラサが怒って出ていっちゃたね。サラサは、高貴族と縁を結びたかったから、ルイーゼに託したのかな自分の思いを」

と言うと、私も

「何ですか、それは。いい迷惑です」

とはっきり言った。

「びっくりだよ、まさかルイーゼがそんなはっきり言うなんて」


考えて見れば今までずっとお母様の言う通りにしてきた。あの方とお友達になりなさい、あの方の周りにいなさい。話を合わせなさい。ずっとニコニコしていなさい。


何でだろう?今はそんなことより、お父様と話したいと思う。

「お父様、つまらないって何なんでしょう?魅力がないって事かしら」

と言うと

「そうだね、ルイーゼは好きな事は何?興味ある事は何?」

と聞かれて、答えられなかった。

「まず、見つけてごらん」

「えぇ、お父様、ありがとうございます。見つけたら報告します」


机に向かい、違和感はさほど感じない。前の私、今の私、言葉にすると違うけど、今の私の中にいた?そしてキャバクラってすぐ絵が浮かぶ。ここではない物語のようなキラキラした世界。それ以上はわからない。


「私は変わらないな、何か興味を探そう」

と書物室に行き本を読むが、興味が湧かない。本ではないのねと思ったが、扉と反対側に古い茶色より黒に近い色の本。

『魔法の使い方』

手に取ると、その本はくっついているようで開かない。

「古いから開かないのかしら?」

とりあえず自室に持って行く。

考えてみると、魔法をまず聞かない。

何故、我が家にこれがあるのかもわからない。

扉が叩かれる。

「ルイーゼ様、奥様からお茶のお誘いですがいかがでしょう」

お母様。

「すぐにいきます」

やはり気にはなっていたものだから、少しホッとしている。

「お待たせしました。お母様」

と言って席につく。するとお母様が、

「ごめんなさいね、ルイーゼ。最近お茶会でも私達の話題は、高貴族令息の婚約者が誰になるかが話題なのよ。ついつい負けたくないって思ってしまって。私がね、ルイーゼの年頃の時も、今の国王様や公爵様、宰相様や騎士団長様の婚約者が決まってなくて、大変な争いだったのよ。みんな自分を売り込んで、私も頑張ってはみたものの空回りや得意なこともなくて、相手にもされなくてね、悔しくてルイーゼに託したのね。昨日旦那様に叱られてしまったの。ルイーゼは私じゃないのだからって」

「そうだったんですね。でもお母様、私、昨日気づいたんですけど、私に聞こえるように言ったのかわかりませんが、令嬢につまらないって言う令息ってどうでしょう?」

と言うと、お母様も

「確かに、心で思ってもそれをみんなの前で言うって酷いわね。どんな風に育てているのか、みえるわよね育ちが、母親の」

「お母様、何か悪口、と言うか悪役ぽいのですけど」

「えっ、嘘、悪役令嬢みたいだったかしら?また旦那様に注意されてしまうわ」

「いつもお父様に注意されているのですか?」

と聞くと、お母様は照れながら

「そうなのよ。学生の時に何故か皆から冷たい視線を浴びて居た堪れなくなった時、声をかけてくれたの。このままだと悪役令嬢になって断罪されるよって」

お母様は、とても嬉しそうに語り出す。

「でね、確かに思った事を言ったら、何でもかんでも私のせいにされ始めて泣いていたら、旦那様が来て、少し学園を休んでたら、解決することもあるよって言ってくれて、それからかしら旦那様の事が気になりはじめて、うふふっふ」

とニタニタしているお母様を見て幸せそうだと思う。しかし気になることが出てきた。


お父様って何者?

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