第12話 モナカの洗濯後の魂は
「お、おぞましいものを見たような」
銀河が魂を入れ替えたばかりだというのに蒼ざめていた。
「おぞましいとは何事じゃ、百人の裸んぼを見せてあげたじゃないか」
「別に望んだ訳じゃない。女性とは、おぞましい生き物だな、なんだってドロドロなよごれを溜め込んでいるんだ」
「そりゃ女に限らんだろう、もう浄化されたよ、魂をつくるのに比べたら、意外とかんたん」
銀河はモナカを探した。モナカは際立って美しい裸体をバスタオル一枚で包み、髪にドライヤーを当てていた。
「やあモナカ」
「きゃあー殿方が紛れこんでいるわよ」
モナカの攻撃は容赦ない、防御はすぐに攻撃に転ずる。モナカの容赦ない悲鳴に女性は何事が起こったのか把握もしないで、騒ぎ立てる。モナカにすれば、団扇片手にオラオラと煽っているのだ。モナカの魂は2度洗い、3度洗いが必要かも知れないなあ。身近なところに、上等な研究材料が居るってことは、幸運だ、黄色カナリアを買って居るようなものだ。
「ちょっ、なに! 仕事だよ、はいはいお仕事ですよー、皆さま着替えができたら並んで下さい」
銀河が慌てている姿はなかなかいいものだ、ピュアな魂が並んでいるように見えてきた。
「皆さまの魂を洗濯しましたよ。これで、気持ちにゆとりを持って、新しい魂を手に入れてくださいね」
ナライは先程のコールタールのような湯船の記憶を振り払った。
「政府は全力で応援しますから、二年先か五年以内には必ず全員にピュアな魂を配布します」
歓声が上がる。手応えは十分。街から陰鬱な雰囲気が消えた。未来を考えることが出来るようになった。
未来を考えるって、素晴らしいことなんだ。モナカと次元上昇してから、ナライも少しばかり未来を考えるゆとりが出てきた。
魂の洗濯と、魂飛ばし、順調に進んでいる。
「ところで、すっかり忙しくてモナカのこと忘れてた。あの子、どこで暴れてる?」
「モナカはなかなかだよ、モナカに何が起こったのか心配になるほどだ。彼女ボランティア活動している。美人だからさ、どこに行ってもすごい人気で、よく見ると可愛いところもあるよ」
へ? あれほど、貶していた銀河が褒めちぎる。まさか、また負けるのか? 思えば母親の代からあの親子には負けている。
「モナカを呼んで」
ナライがいつになく不機嫌な声を張り上げたものだから、城じゅうに緊張が走った。
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