番外編
その1 2人の出会い
これは、旭悠大が、飾哲也に出会った中学一年生の時の記憶だ。
俺は、最初は、あいつのことが嫌いだった。
初めて喋ったのは、俺が、自分のクラス以外でも友達を作りたかったので、片っ端から、馬の骨が合うやつを探していた時だった。
「飾だよな? ちょっと話してみたかったんだ。時間くれない?」
「俺は、話すことないから、他当たって」
俺の精一杯努力した綺麗な言葉遣いを、あいつは、受け流した。
普段から何事にも諦めてそうな目付きで、あまり人と話したりしない。
そんな第一印象だった。
それが、中学一年の半分が過ぎた頃。
つまり、哲が、神楽さんとすれ違いをしてやさぐれていた時期である。
※※※※※※※※
「神楽さんってさ、自分にしか見合わない男としか付き合わないって思ってるのかな。可愛いけど、最近調子乗りすぎだよね」
ある日の昼休み。俺が、他のクラスに行って友達と話している時、近くで、2人の女子生徒が、ヒソヒソ悪口を言い合っていた。
俺は正直人の悪口を言ってる奴らは嫌いだ。
でも、口出しをするほど勇気はない。
その時だった。
「文句あるんだったら直接言ってやればいいのに」
飾が2人の女子生徒に言い放ったのだった。
「なに? なんか文句でもある?」
凄んだ女子生徒に、1歩も引かない飾。
「いや、純粋に女の嫉妬ってださいなって思っただけ」
そう言った後、飾は、自分の席に戻っていった。
「なんか気分悪くなった。教室でよ」
「気分入れ替えよう」
イラついたのか、2人は、教室から出ていった。
俺は、その一部始終を見て、自分の意見をしっかり言えるやつってかっこいいなと感心していた。
だから、俺は喋っていたやつに、バイバイして、飾に話しかけることにしたんだ。
「そうだった。飾ってこのクラスだったよな。少し話そうぜ」
「俺はない」
「そんなこと言うなって。少しだけでもいいからさ」
俺が飾哲也と友達になりたいと思った時だった。
※※※※※※※※
これは、赤井菊音が神楽來菜に出会った中学1年生の時の記憶だ。
私は最初は彼女のことが嫌いだった。
勉強、運動と何でもできて、その上、人当たりが良い。
ずっと笑っているから、偽善者じゃないのって思っていた。
そんな第一印象だった。
でも、その感情がある時に変わった。
「神楽さんって、飾ってやつと仲良かったけど最近喋ってないよね。あぁ。そうか、あいつ俺も、昔遊んだことあるんだけど、ずっとシラケた顔してつまんないもんね。その気持ちわかるよ」
ある日の昼休み。1人の男子生徒が、彼女と仲良くなりたかったのか共通の話題を出した時だった。
「私にとっては、あなたが1番つまらない人間だと思いますけど」
神楽さんは、いつもとは打って変わって見たことのない鋭い目付きをしていた。
「え??? 急にどうしたの?」
そんな対応を見せられた男子生徒は挙動不審になっていた。
「人の悪口を言う人は大嫌いです。二度と喋らないでもらっていいですか。それか、私の前から消えてください」
彼女の意外な対応と、他の目線が気になったのか男子生徒は教室から出ていった。
「へぇ、そんな顔もできるんだ」
遠くの席で私は小さく呟いた。
これからだ。私が神楽さんもそんな必死そうな顔をするんだって面白く感じた時は。
あれから、興味を持って私から話しかけに言って、いつの間にか親友になっていた。
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