第5話 フローレンスとタイラー。1
本編の設定とはかなり違います。フローレンスは冷凍睡眠中。タイラーの秘密は全く明かされていません。アデールとは結婚せず偽装もしてません。レティはアーナとお買い物に行くだけでそれ以上絡みません。
本編の99話のフローレンスの見た夢はこの回の解凍され運ばれるシーンです。
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あらすじ。
ガルーダから生還した直後、陛下に挨拶に行くと同時にフローレンスを解凍、その後作戦本部でタイラーと出会う。
ーー
「嗚呼、体がとても寒い。。。けど、何、なんで生ぬるいのここは」
解凍が終わり意識がだんだんハッキリしてくると、夢の中か現実か区別がつかず混乱していたが、ぼやっと光だけを感じ視界が戻らず全身が凍る様に寒い事で現実と気がついたフローレンスは保存液の中に浮いていた。そして少し微妙に揺れる自分の体はどこかに運ばれていると簡単に推測できた。
「会えるのかな・・・」
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謁見室に入るなりジェフが大声でアーレイを呼んだ、よほど心配していたのだろう顔を見るなり笑顔になった。
ジェフ)「アーレイ良くぞ無事だったな!其れにしても忘れられた惑星とはな」
アーレイ)「はい陛下、只今戻りました。最初はどうなる事かと思いましたが無事に生還しました」
「報告は読んだぞ人助けはアーレイの信条だから放って置けなかったんだろ!しかしなんだ、そのお前の後ろに控えている麗人は嫌に距離が近いじゃないか!」
2人はアーレイの背後に控えてはいるが、親善大使の距離感では無い。
「あはは、陛下!懸命に動き回り問題を解決したら嫁が2人増えました!」
「なん、、、だと!」
流石のジェフも頭をハンマーで殴られるくらい強い衝撃を受け言葉が辿々しい。
フィー)「お初にお目にかかります、ジェフ陛下バウンデ王国、第一王女フィリーサ・アブ・ラブレスと申します」
アーナ)「同じくお初にお目に掛かります、ガルーダ王国 第一王女ジョリアーナ・オブ・モントォーリと申します」
2人)「縁あって2人ともアーレイ様の妻になりました!」
謁見の間の全員が呆気に取られ一同ポカンとしている。ジェフは額に手を置き苦笑いしながら呟く。
「のうアーレイや、フローレンスを娶り更に新惑星の王族2人も娶るのか?」
「陛下、これには深いわけがありまして、ここでこれ以上お話しすることはできません、それほど重要な事なのです」
「ふむ、ワケとやらわここでは話せんのか、まぁよい夜にでも聞こうとするか」
話が一段落した頃合いを見計らったのか、扉が開きあのカプセルが医者たちに囲まれ運び込まれる。
「フォフォフォ、良いタイミングだの」
カプセルが運び込まれるタイミングで執事は静かに退出しその代わりにアイシャが白いローブを持って現れた。彼女も病気では無い事を知る1人だ、助け舟を出すつもりだろうかアーレイを見るなり軽く微笑む。
女医)「既に覚醒はされておりますので、十分注意をしてカプセルからお出しください」
その言葉を聞きアーレイがカプセルのスライドドアを開け、まだ視力が戻らず焦点が合っていないフローレンスの呼吸装置を丁寧に外し、優しく肩を抱き起き上がらせると、小さな声でポツリとアーレイ?と呟く。おかえりの一言を返すとギュッと抱きしめて来る。
「やっと抱きしめる事ができました!」
「ここは謁見の間だよ」
「うひゃ!カプセルから出ます!」
謁見の間と聞きジェフがいつもの椅子に座っている事が容易に想像でき、慌てて半身を起こそうとするが体に力が入らず思う様に起きれない。アイシャはその様子を見るなりローブを広げそれを肩にかけた。
「レン、おかえり」
「お、お母様・・」
「ほれ、首に捕まって」
「恥ずい・・」
アーレイはローブごとフローレンスを持ち上げカプセルから出すと、ゆっくり足を地面に置きバランスを崩さない様に支えている。
「陛下、ご心配をおかけしました」
「よい、話は聞いておる、早く元気な姿を見せてくれないか」
「畏まりました」
「うん、目が見えないのね、まとめて治療するね」
「失礼ですが、何方でしょうか」
「フィリーサ時期精霊女王だ、君の隣にいるよ(小声」
その漏れ出て来た言葉にアイシャがピクリと反応、鋭い目線をアーレイにむけ理解したのかクッと口角を上げる。
「初めましてフィリーサ様、フローレンスと申します」
「よろしくねフローレンス」
フィーはパッと手を開き目を塞ぐ様に翳すと、しゅわ〜んと光が吸い込まれ少し経つと全身がフッと光り、見る見る肌の艶が増していつもの健康そうなフローレンスに変わる。
「み、見えます、ありがとうございます」
振り向くとフィーがドヤ顔で微笑み、”宜しくね”と言い放ち後ろに下がり、もう大丈夫とフローレンスが呟くといつもの綺麗な立ち姿になった。
「フォフォ、魔法の使い手とは恐れ行った、夜が楽しみだ」
この一言が終わりを告げフローレンスは検査のため病院に向かい、アーレイ達も同時に下がっていく。
ーー
謁見が終わり、アーレイ達は作戦本部に顔を出す。
「おお、生きてたな、死なないとは思っていたけどなまさか嫁さん連れて戻ってくるとは」
「マドック、ヴィック、ライナス、久しぶり、ああそうだよ色々あったよ」
「そうか、タイラーが一番落ち込んでいたから、早く会ってやれ」
その時、バタン!と激しく扉が開くとアーレイの名を叫びながら、周りの目を気にせず飛び込んでくるタイラーはヒンヒン泣いて耳が下がり思い切り抱きついて来る。
「ヒーン!心配しましたー!!」
「アーレイ何方?」
「説明したでしょポコと一緒に獣人開放作戦に協力して貰ったハーフエルフのタイラーさん」
「あら、この様子だと結構仲がいいようね」
「俺は何もしていないぞ、それにさっき会ったサフロンが育ての親みたいなもんだよ」
「それで、側室にでもするの?」
「ああー、それNGワード!」
一応事前に説明はしていたが、大胆な行動の前に忘れたようで知らん顔をしている。
「俺を狙った他国の影が襲った時に、タイラーを囮として使っていたんだよ。予想より激しい戦いに巻き込んじゃって、お詫びとしてその機会が有ればと言って契約した」
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フェアリー)「微妙に嘘ついていませんか?」
アーレイ)「ん?大人の話!!」
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「まさか私が側室って言ったからその条件に当てはまるの?」
「そうね、君は妻で僕に”側室にでも”と進めたから、その機会を作っちゃたわ」
「あっ、そう言う事!アーレイ大丈夫あなたは死なないわ我慢して」
フィーは嫁が増えることを嫌ってないのかアーレイに丸投げした。
「いや、これが、今は拒否していないから発動はしないんだけど・・・」
「アーレイ様!覚えてくれていたのですね嬉しいです。勿論、契約は生きていますよ!それとあのですね、実は魔法適性が爆上がりしまして、その能力を買われ正式にデルタ軍魔法部隊の隊長になりました。エッヘン!!」
タイラーは修行が終わり戻っていたことは知っていたが、会いに行く暇がなく放置していた。
「そうだったんだ、まさかとは思うけど・・・・契約魔法も強化されたと?」
「はい!頭が痛いのは変わりませんが、強制従事出来ますのよ!テイマーになれました」
「フィーさん、責任とってね!
「ちょっとなにを言っているかわかりません!」
「それではアーレイ様、側室にしてくださいお願いします!」
判断を丸投げしたフィーはどこ吹く風、タイラーの目はキラキラしていたが、黙るアーレイを見ていると・・。
「発動しますわよ〜」
ブン!と音がして魔力を貯めるタイラーは以前見たときの20倍位大きい魔力の塊が出来上がり、空間魔法も発動しているのか周りの筆記用具が宙を浮いていた。別に見せなくても彼女なら無詠唱で強力な精神魔法を発動出来るが、アーレイに見せて決断を促していた、それを見たアーレイは再度フィーの意見を聞くがやっぱ丸投げしてくる。
「アーレイ、貴方が決めなさい」
「わかったタイラー、今日から僕の側室だ」
「・・・・あ!有難うございます、有難うございます。フィリーサ様、ジョリアーナ様、不束者ですがよろしくお願いします」
「もう、アーレイ優しすぎ!」
「良かったねタイラーちゃん、一緒に楽しみましょ!」
「ん?ねえタイラー、何でハーフエルフで2重掛けの魔法を構築できるのよ、普通単式だよね?それって魔道士クラスじゃない」
フィーとアーナはカラミティ星団のことを強制学習で情報を習得済みで、魔法に関し知識はコンプしてる。
「私もアーレイ様に掛けた時に何で複式かわからなかったのです。クーンで修行した結果、適性が判明し精神魔法と空間魔法の2つなので複式が組める様になりました」
フィーは得た知識でタイラーの魔法特性に気が付く。疑問が残るがこの場でこれ以上の詮索をやめ、後でアーレイに聞こうと考えていた。
ーー
アーレイは嫁を連れ各部署に挨拶回りを済ませ、自分の部屋の見学に来ていたが、寝るだけの部屋で何も置いていない。何故か期待していた2人だったが部屋を一眼見てちょっとガッカリしてた。
「ここがアーレイの部屋なの?ほんと何も無いわね」
「船の生活ばかりだったからね、余計な物は買わないし」
「そうなんだ」
「アーレイ様、あのですね通いの側室でよろしいですか?」
「良いよ、魔法部隊辞めれないでしょ」
「そうです、ありがとうございます。それでは部隊に戻ります」
タイラーは魔法部隊の隊長だ、流石に長時間放置することが出来ず、通い側室の許可を貰うと兵舎に戻っていく、そのタイミングでフィーがタイラーの事を聞いてきた。
「ねえアーレイ、あの子の過去知っているの?多分親は魔法士だよ」
「2歳の時に両親は戦死したって言ってたよ、明日、戻ったらサンに聞いてみるわ」
「そうね、先にエメリナの件を済ませないと」
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エメリナの話は本編と変わらないので省略します。
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そしてデルタに戻ったアーレイは、タイラーを娶る報告と素性を聞きにサフロンの所に向かった。
「サン、それでタイラーの秘密を教えてくれないか、彼女の魔法特性はハーフエルフじゃ考えられない」」
「そう、いつかは話そうと思っていたけど、あなたの想像通りよ彼女はハーフエルフじゃなくて純粋なそれも王族直系のエルフよ」
「はい?何それ、王族直系?」
「母親は元デルタ王宮魔道士カーリン・ランツ、彼女の血筋は王族の血を引いていて、父親も王族の血を引く元上級貴族のレナルド王」
「けどカーリンは側室じゃないよね」
「ええ、レナルドの元恋人がカーリン、国王になってからも密会を繰り返しそれで生まれた子供がタイラーよ」
カーリンは若い頃、魔法を通して出会い恋人同士になったのは良いが、レナルドが王を拝命する際、側室にせず密会を繰り返していた。その際生まれたのがタイラーだったのだが、何故か自分の子供として認知せず、同じタイミングでデルタから魔法部隊構築の協力要請が入り、能力の高かったカーリンをわざと指名し呼び出し強制的に魔法契約を結ばせ、タイラーを我が子と呼べない様にしたのだった。
「だからタイラーはデルタの孤児院で育てたの」
そして数年後、王宮魔道士は解散しフォーレストに戻る際、タイラーを連れて帰るなら始末すると言われ仕方なくサフロンに預け、カーリンは親の世話の為1人帰国したのだった。
「それにしても酷い話だな、王宮魔道士は結構な給料出たんじゃないの?」
「孤児院に寄付とか、高価な魔道具買っていたから、たいして残っていないわ私もよ」
「ふーん、じゃタイラーには教えるよ。彼女に押し切られた俺の側室になったわ」
「はい?本当に?あの子凄くいい子よ大切にしなさいね、ちゃんとカーリンに会わせてあげてね、けどアーレイくんを飛ばした魔法陣を組んだのは彼女よ」
「よし!お尻ペンペンしてやる!」
「あのね、彼女は何も知らずに作っただけよだから許してあげて、私たちが飛ばした魔法士を追い詰めて捕まえたらカーリンだったのフォーレストだと魔法の仕事が無いんだってさ生活が苦しみたいよ」
「そうか、そんな事実なら仕方がないか」
「あのね、飛ばした先が分からなくて探査に協力したのは彼女なの」
「贖罪ね」
タイラーの秘密を聞いたアーレイはフィーの元に向かった。
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