サエ

 「この世界に創造主なんているわけないでしょ」

サエはぶっきらぼうに吐き捨てた。

「うーん、そうはっきり言われると困っちゃうなぁ。でもさ、実際事故とかで死にかけた人が、同じような夢を見たりするってテレビなんかで言ってたよ?」

「そうそう。あたしのおばあちゃんもきれいな川を見たことあるって」

サエは内心辟易しながらも、反論を考える。

「それは、みんなが同じようなものを見て、似た気持ちになってるからだよ。誰だってきれいな小川でリラックスした気分になるでしょ?人は死にかけて、もうダメだ、ってなるとエンドルフィンなんかのホルモンが出て楽しかった思い出を思い出すの」

「うーん、難しいこと言うねぇ」

「そう言われてもなぁ」

彼女の反論はどうやら空回りしたらしい。

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