第11話 匂わせる、わたし

 こんにちは。唐田えりかです。もしくは伊藤綾子です。


 みなさんに、と言っても少数民族の方々にですが、お知らせいたします。


 本日行われた、ぺこり検討委員会特別分科会のリモート会議におきまして、一部委員より提出されておりました『カクヨムコン7・短編賞・エッセイ部門にぺこりを投稿させよう』という議題は、反対多数で否決されました。


 理由は「ぺこりが『エッセイ・ノンフィクション』として発表した過去の作品を再検討したところ『エッセイではなく、どう考えてもフィクションであるため、選考の対象外になるので書くだけ無駄である。そんな時間があるなら、積読本を早く読め!』という厳しい意見が多数出た」ためであります。

 念の為、ぺこり本人に意思確認を行なったところ、

「何度の言うけれど、おいらは『エッセイスト』ではない。『ユーモア小説家』である」

 とのことでした。ならば、他の短編賞に応募したらどうだと、委員の一人が勧めたところ、

「この前に復帰作で書いた数作の短編のPVを見なよ。10ちょっと行くか行かないかじゃないか。もうね、ビシッとラストで読者を驚かせる短編小説などおいらは書けません。だいたいさあ、短編一作書いたって書籍にならないじゃん。もう短編集にするほどおいらの灰色の脳細胞にアイデアはありません。脳細胞が『腎虚』になっちゃったの。クマにも認知症ってあるのかなあ。心配だよ」

 と吠えて寝てしまったそうです。


 以上の結果を鑑みまして、ぺこりは不参加といたします。


「異議なし!」

 

 うん? 諸葛純沙委員。なんで挙手しているのですか?


「長編部門が全く議題に上っていませんけれど?」


 ははは、馬鹿なことを仰りますな。エッセイも短編も書けないのに長編なんて夢にも出てこないですよ。


「そうかなあ?」


 はい、分科会は終了。散会です。ネットを切断します。


 さようなら。

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