第2話 ロボット

 阿久津勇あくついさむはしがない派遣社員だ。ひまわり市にあるボールペン工場で夜勤の仕事をしていた。

 午前7時に仕事が終わり、職場から出て家路に向かっていた。途中のコンビニで緑のたぬきと缶ビールを買った。

 録画した鬼滅の無限列車を観ながら蕎麦を啜った。海老天がサクサクしてて美味い。

 勇は高校時代に病気で死んだ、上杉英太うえすぎえいたを思い出した。確か、骨肉腫だった。サッカー部の奴で明るい奴だった。

 空を飛ぶ夢を見た。

「結婚はまだなの?」

 おふくろは毎日のように言う。

 彼女の織江おりえとは大学のとき知り合った。

「ほっとけよ!」

 午後6時に朝食を食べた。昼夜が逆転してるから、最近は織江とも会えない。

 夜の街を歩いて職場に向かう。

 月食で黒い丸の先端が白く滲んでる。

 何かが起きそうな気配だ。

 屋上から何かが飛び降りた!ロボットだ。目から赤いレーザーを放って襲いかかってきた。

 勇は「ポンポコポンポコ!」

 勇は胸の辺りを撃たれたが死ぬことはなかった。

 緑のたぬきには触れたものに変身する能力があった。

 勇はドングリに触れていた。ふっくらとした実をしたクヌギだ。

 ロボットのレーザーはドングリだけは倒せなかった。


 ロボットを操縦していたのは書上貴一かきあげきいち、英太をイジメていたヤンキーだ。出身は群馬県だ。

 校舎で暴れて先生に怪我を負わせたり、英太をプールで溺れさせたりゴミみたいな奴だった。

 書上は高校卒業後、平和を護るロボット組織アガレスに配属した。

 筑波山の麓に基地がある。

 書上が操縦しているのはガマガエルみたいな形をしたロボ、ジライヤだった。

 

 11月22日を持って派遣の仕事を辞めた。

 書上を倒すという野望に燃えたぎっていた。

 ギタギタにしてかき揚げにしてやる!

 11月23日、今日は勤労感謝の日で休みだ。勇は朝食を食べ終えて、ロール・プレイングゲームで遊んだ。ラスボスはアガレスというワニに乗って、大鷹に手を止まらせた悪魔だった。アガレスはイスラエルの王、ソロモンが封印した72柱の悪魔の1つで、31の軍団を操っている。勇はボタンを連打して魔剣でアガレスを叩き斬った。

『ギャァァァァッ!』

 派手な音楽が流れ、アガレスは死んだ。

 

 正義を守るはずのアガレスの正体は、テロリストだった。

 黒幕は度重なる派遣切りに遭った、鯨健三郎くじらけんざぶろうという栃木県出身の人間だった。

 織江は大学卒業後、警視庁公安部に配属してアガレスに潜入していた。

 織江は東北のあるところにどんな傷でも回復する、不思議な中華そばがあるという噂を耳にした。

 11月25日の朝、織江は勇を伴って、小山駅から東北新幹線に乗り込んだ。

 

 

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