第5話 パッチくんの正体
コース分けがされている県内トップの高校は桜野谷高校しかない。ということはパッチくんが虚言をしていなければ僕と同じ高校と言うことだ...。パッチくんが誰なのか気になって仕方がない。もしかしたら知り合いかも...。
でもどうすれば...。熟考してもアイディアが思いつかない僕と反比例してDMの雑談はどんどん盛り上がってる。
結局いい方法が思いつかなかった。...一応爽真にも聞いてみよ。「明日一緒に学校に行きたい」とLINEを送信しその時に聞くことにした。もう今日は寝よう。DMはほっとこ。
次の日
爽真から「一緒に行こう」と返信があったのでいつもの待ち合わせ場所で爽真を待っている。
前早く来てくれたのはたまたまだったのかな…。
そんなことを考えていた時僕の背後の方から慌ただしい足音が聞こえた。
「お待たせ!」
振り返るといつもの笑みを浮かべた爽真がいた。
「僕もさっき来たばかりだから大丈夫。」
あの時のようにこわばった表情はもうなくなっていて僕も自然と笑みが溢れた。僕らは駅のホームへとのんびり歩を進めながら駄弁った。
「なんか周から誘ってくれるのめっちゃ嬉しかった!ありがとな!」
頬を紅潮させニカッと歯出し絵に描いたような笑みを見せた。この笑顔を見ると心の底から安心できる。あのことは忘れてしまった様に見える。
「そんなに喜ぶこと?」
「そんなに喜ぶことだよ!」
でもいつもはすぐ手を繋いでくるが今日は繋いでこない。忘れてしまった様に見えるだけであってやっぱり気にしてるんだ。これ以上身勝手な人のせいで傷つかないようにしてくれてる。
爽真って見た目はチャラそうだけど根は意外と真面目で優しいから…。
あ、パッチくんのこと聞くんだった。
「あの、凄い唐突なんだけど…。聞いていい?」
何故か緊張してしまいいつもより声が細くなる。まるで告白する前かのように鼓動が五月蝿い。そんな重大なこと聞くわけじゃないのにな…。
「いいよー。何?」
何も身構えてない気楽そうな返事だ。僕はスマホを用意し、パッチくんのプロフィールのスクショを見せた。
「この垢って爽真の?」
「…!」
僕の方を見て目を見開いている。驚きのあまり声も出せないのだろう。まさかとは思ってたけど爽真だったんだ…。
「…なんでわかったの?もしかして、Shyって周?」
声も驚きを隠せてない。
「そうだけど…。」
「…ははっ。こんなことってあるんだ…!」
爽真は吹っ切れて急に笑い始めた。そんなに笑うことではないと思うけど…。
「こんなことがおきるのって凄い確率だよね」
「週末に俺の家でそのことについて話そうぜ」
にかっと笑い提案してくれた。
「そうだね。最近爽真の家行ってなかったし」
軽く返事をしてしまった。本当は凄い嬉しいのに。その場で飛び跳ねたいぐらい…。
「じゃ、そういうことで」
「了解」
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