第4話 「来世はクマノミになりたい」結成!

 爽真とはちょっと気まずいし、そもそも授業時間が違ったので今日は1人で学校から帰宅した。まぁ普段のことなんだけどね。


そういうえばパッチくんサークルのメンバー集められたのかな?DMきてるといいな。

そんな疑問を抱き、Twitterを開くと期待どうりDMが届いていた。なになに…?


パッチくん「サークルに参加してくれそうな人1人は見つかった!」


パッチくん「締切は投稿の5日後にしてるから増えるかもしれないな。」


え、本当に見つかったんだ…。てっきり見つからないかt((殴


Syu「それは良かった。どんな人?」


約5分後


パッチくん「この人なんだけど」


パッチくんからプロフィールのスクショが送られてきた。


なーたそ...さん...?アイコンが加工盛々の目元以外はハートで隠された自撮り画像でふりふりしてる服着てるんだけど。量産型オタクって言うのか。プロフィールによると推しに恋してるらしい。


Shy「バイセクの方なんだ。いろいろ気になるところあるけど。」


パッチくん「なーたそはガチ恋だけど害悪じゃないから大丈夫だ。俺も初めて絡んだときはこの人大丈夫かな?って思ったけど普通にいい子だったよん」


ほんとかな...?でもパッチくんが言うなら...。


Shy「パッチくんの言葉信じるよ。参加してもらって。」


パッチくん「おけまる。グループDM作って来るね。」


おけまるって…wあまり触れない方がいいと思うけど…w


パッチくん「あああああ、仕舞ったぁぁあ」


メッセージが送られてきたのはグループではなく個チャの方だった。


Syu「ど、どうしたの?」


パッチくん「重大なことを忘れてたのに今気づいた…。」


そんな重大なことなんてあったけ…。なんだか不安になり、緊張してきた…。


パッチくん「サークル名をつけ忘れていたのだ!」


なんだ、そんなことか。想像よりも軽いことだったのでホッとし、さっきまでの緊張が打ち解けた。


Syu「確かにサークル名はつけてなかったよね。どうする?」


僕はもうサークル名の候補を浮かべていた。


パッチくん「うーん。思い浮かばない…」


Syu「『来世はクマノミになりたい』っていうのはどう?」


パッチくん「あ、それツイートで言ってたやつだよね?由来と言いますと?」


…よく気づいてくれたね。僕のツイートをよく見てくれてたんだ。


Syu「クマノミって1番体が大きいのがメスで2番目に体が大きいのオスなんだけどさ、他のクマノミには性別がないんだ。」


Syu「性別がなければこんな悩みから開放されると思わない?来世は性別に囚われずに生きたいっていう願望を込めてつけたサークル名だよ。」


由来を綴り終わった。由来というよりかは心の底に秘めていた、本当は誰にも言うはずのなかった願いなのかもしれない。

こんな願いなんて叶う筈がないだろう。でも、僕は願う。いつかこんな世界が、性別に苦しめられないで生きることのできる世界が実現することを。


パッチくん「おぉぉおおお!!めためた良き!」


Syu「そんなに…?ありがとう。」


10分後


パッチくん「なーたそもこれでいいって言ってたからサークル名これにするね!」


こんなにすぐサークル名って決まるものなのか。


Syu「了解。」


「来世はクマノミになりたい」グルーブにて


パッチくん「来世はクマノミになりたい結成おめでとうーーー🎉」


なーたそ「おめでとう🎊」


Syu「おめでとう。」


パッチくん「Syuとなーたそは初絡みだからお互い自己紹介しな」


なーたそ「うちはなーたそ。Bだよ。フリフリしたいわゆる量産系の服が好きな量産型ヲタクなんだ。歌い手さんのヲタクで推しはますくん。特技はかぎ編みかな。よろしくねm(*_ _)m」


なーたそ「呼びタメ大歓迎だよ!仲良くしたいな(*^^*)」


ますくんって超有名歌い手の「ますます」って人だよね...。いかにも可愛いものが好きって感じがするし社交的だ。僕とは違うタイプの人だな。


Syu「僕はSyu。G。趣味は特にないけど強いて言うならルービックキューブかな。特技は勉強だよ。こちらこそよろしく。」


正直特に特技と言えるものがないので、勉強になってしまった。


なーたそ「よろしくね~!へー勉強得意なんだ。凄い✨」


Syu「急に勉強ができるようになったんだ。」


でも急に勉強ができるようになったのがきっかけでしばらくは怠慢な日々を過ごしていた。でも今は心が軽い。それも爽真のお陰で…。

今思い返すと本当に爽真はよく僕に寄り添ってくれてるな。爽真がいなかったらどうなってただろう。自堕落な生活を送っていたかも。

爽真は僕の恩人であり大好きな人だから

って言えるわけがない...。一生かけても言えるわけなんて...ないよね...。


パッチくん「え、急に勉強ができるようになったの!?」


     「いいな〜。俺めっちゃ勉強しないとテスト全然点数取れなくって...ww」


なーたそ 「え、勉強して取れるだけいいよ!うち勉強しても全然点数取れないよww」


パッチくん「勉強時間とかも有るんじゃ?俺だった勉強して点数ましになるだけで良くはないw」


ふたりともおそらく学生なんだな。僕と同じぐらいの世代で少し気が楽になった。


なーたそ「でもパッチくんが通ってる学校ってすごい頭のいいところでしょ?」


やはり学生だった。


パッチくん「特進クラスは県内トップですごい偏差値高いけど、俺が通ってる普通クラスみたいなのはそーでもないと思うけど。」


なーたそ「それでも、うちのとこよりは偏差値高いと思うよ!」


パッチくん「そんなに褒めてくれてありがとうwそれよりさ.....」


二人は僕がいることを忘れたかのように雑談を楽しんでいる。

僕は二人の会話に入らなかった。いや会話している場合ではないほど内心焦っていた。

手の力がぬけ握っていたスマホがとんと少し音をたてカーペットの上に落ちた。

カーペットに座ってたからスマホは傷もついてないし画面はついたままで良かったってそれどころじゃない。


僕はとんでもないことに気づいてしまったのだ。

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