エレクショントレイン

ゴトトン……ゴトトン……ゴトトン……ゴトトン…………



鈍行は揺れる。





俺を乗せて。



ゴトトン……ゴトトン……ゴトトン……ゴトトン…………







向い合わせた座席に座るは、推してはかるに十六~十七程の、部活帰りらしきスポーツ着姿の少年。

デカいスポーツバッグを足元に置いて携帯で何やら、恐らくは課金ゲームを手持ち無沙汰に熱中している様子であった。


少年といえど、背丈、顔つきの発育は、もう既に立派な青年だ。

170センチはとうに過ぎている。

細胞分裂の回数がまだ少ない証拠である、肌のきめ細やかな綺麗さと面影の初々しさが、少年といわしめるに充分な若さを第一層に表面化させている。





足は伸びやかで、誠に肉付きはどこもかしこも薄く、細い筋肉だけが無駄なくついていて、大股を広げ長い足を八の字に伸ばして広げて通路を邪魔している。


野球部員であればこうはいかない。

もっと足は太く、肩も尻も太腿も、立派、立派であろう。

たっぷりと、日焼けした身体。

サッカー部員として目の前の相手が、夏の炎天下の下、整地されたグラウンドをどこまでも駆け巡る様子が脳裏に浮かんできた。


Tシャツに膝までの半ズボンのジャージ、運動シューズ。


脛には毛が生毛程度にしか、薄く短くしか生えておらず、パッと見ツルツルにすら見える。


まさか、運動部員の男子がわざわざ、脱毛シェーバー使って脛気を毎週剃っているとは考えにくい。

生まれつき生えにくい体質だと考えた。


俺の男らしい剛の脛毛をこいつの脚にジョリジョリ絡みつかせ、男としてのマウントを取ってやりたい衝動に駆られる。


ほら、お前は本物の大人の男に、これからチ◯ポで尻を割られてやられてしまうんだぞ、とまだ人生経験の浅いその肉体に刻んでやりたい。



すかさず俺は少年の股間に目をやり、テレパシーを送る。



ほら、見てるぞ!!俺が食い入るように見てるぞ!お前のチ◯ポを!!!

ほら、テント張れ!!!早く!!!

見られてるのを意識してテント張れ!!!!

下を興奮させろ!!!!



……当然ながら、テレパシーなんか届かない。


股間も三角形になど盛り上がらない。






電車で乗り合わせた相手など、もう一生出会う機会はないだろうなぁ。



顔は普通のよくいる男子高校生の顔だが、俺はこのぐらいが好みだ。


尻でのセックスなんか微塵も連想出来ないような、健全な、明るい、スポーツ少年を、人間性器に作り変える趣味がある。




こうしている間にも、俺のほうが下が充血してきた。



こいつが降りる駅に合わせて降りて、何とか個室トイレなんかに連れ込んでパンパン出来ないもんだろうか。


俺にパンパンされて以後、今度から電車に座る時は、内股で足と足を擦り合わせて閉じて座るようになったら笑えるな。



それで上手くいって交際がスタートしてしまったらどうだろう。


男子高校生と交際したい。


大人の男として車で学校まで朝晩送り迎えをし、友人達にホモ疑惑を抱かれないかとこいつをビクビクどきまぎさせ気が気じゃ無いようにさせてやりたい。


今は駐車場関係が面倒臭いので通勤は電車移動のこんなだが、車くらい持っている。



朝の送り迎え時には勿論、セックスだ。


そこらの路上に停止させ、

目隠しをした車内の中で一発尻の中に出し、精液を出したらアナルプラグを入れ、精液が出てこないように蓋をする。


友人と話している時も、授業を受けている時も、部活で激しい運動をしている時も、中に精液をチャプチャプと波打たせながら行わせてやる。


モノによれば、激しい運動をした時にプラグが外れてしまうかもしれないが、


もし放課後の送迎時にプラグを引き抜いて中の精液が空だったら、何で一日中嵌めておかなかったんだとお仕置きをしてやる。



お友達とバイバーイと明るく別れて車内に乗り込んだら、すぐその少年の表情を剥いで、友人の後ろ姿を見せながら打ちつけ、女の娼婦のようにはしたなく性器にすがりつかせて喘がせてやる。


下からパンパン突き上げて、学校の前で犯してやる。




…………なんて考えてたら、真向かいの少年はスポーツバッグを抱え降りてしまった。


ははん、まさか第六感が危機感を捉えたんじゃあるまいな?




まさか誰も、腕を組んで気難しげな表情をし思案げに座っているこの俺が、こんなことを頭で考えているなんて思い浮かぶまい。



目の前を色白の青年が、陰険な目をして、こちらを見て通り過ぎた。


どうやら俺の腰元が張っているのに気づかれたらしい。



去れ!去れ!俺はおまえみたいなのはタイプじゃないんだ。


確かに顔立ちはさっきの少年より端正かもしれないが、いかにもインドアで、何よりヲタク的な陰気感がした。








ゴトトン……ゴトトン……ゴトトン……ゴトトン…………



鈍行は揺れる。





俺を乗せて。




ゴトトン……ゴトトン……ゴトトン……ゴトトン…………






暫くして夏は通り過ぎ、電車の外は雪が降り積もるばかりの白景色になった。


車内はマフラー姿が目立つ。


満員電車。


密度の高い函は他人の足を容易に踏ませる。


ギュウギュウ詰めの人の息がこもる中、いつかのあの少年が、俺の目の前に立っていた。


ドア付近に丁度背もたれながら立っている。

目の前に顔がいる。

音楽のイヤホンを付けている。

目は瞑っている。

マフラーに分厚いダッフルコートを着ている。


俺の背後からは人が押してくるし、圧迫されながら少年の体に押し付けられる。


次は丁度俺の降車駅。


電車が駅に近付き、ドアがプシューッと音を立てて開け放たれる寸前、俺は少年の口にキスをして走って逃げた。


少年は呆然とイヤホンを握りしめブチッと引っ張り取り、だが降りる人波に飲まれ、掴みかかるなんて一切できずに、距離が果てしなく遠くに出来た。



ハハハハハハハハハハ!



俺はとっとと走って逃げた。しばらくあの電車を使うのはやめとこう。


鉄道警察隊が怖いしね。






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