第23章ー少年と隊長ー18
夜も深まる頃、さらなる深い闇が訪れた。静寂を切り裂くように闇の中で2人の人影が蠢いた。誰も知らない秘密の地下室に、看守のケイバーの姿があった。彼はそこで招かれざる者と怪しげな秘密の会話をしていた――。
そこは湿った地下室だった。大きな地下室に、いくつもの牢屋が並んでいた。 その牢屋の中には人ではなく、別の者が囚われていた。彼がその前を横切ると檻の中から手が出てきた。長い爪は伸びていて鋭さを増していた。ケイバーはそれを見ながら鼻で笑うと、何も動じずにその前を平然と横切った。
不衛生な環境と異臭が漂う中、彼は招かれざる者に奥の部屋へと案内された。ちょうどそこは手術のような部屋だった。中に入ると被験者の男性が手術台に寝かされていた。ケイバーは医者の格好をした男に不意に話を切り出した。
「ゲボルザークのじーさん。今度の被験体は、上等だろ?」
「ああ、素晴らしく完璧だ! これなら、我が理想に一歩と近づくだろう……!」
白髪で長い髭を生やした年老いた男は眼鏡の奥を光らすと、そこで怪しく笑っていた。白衣を身に纏い、彼の姿は医者のような姿だった。
年老いた男は被験者の体を手で触りながら状態をじっくりと確かめた。その眼光には静かる狂気を宿していた。ケイバーは持っているリンゴを噛ると一言言った。
「今回のはイキが良いんだ。それなりに報酬は弾んでくれるんだろうな? 俺だってヤバい橋を渡ってるんだ。言ってる意味がわかるだろ?」
そう言って話しかけると、年老いた男は彼に大きな袋を投げて手渡した。そこには大量の金貨がギッシリと詰まっていた。ケイバーは彼から金を受けとるとそこでニヤリと笑った。
「わかってるじゃねーか、ゲボルザークのじーさん。お偉いさんはそうでなくちゃなぁ? また被験体が欲しくなったらいつでも声をかけろよ。俺の所にはイキの良いのがいるからよ」
「ああ、そうさせてもらうよ――」
男はそう言って答えると眼鏡の奥を光らせた。
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