第21章―竜と少年―21
「これは洗濯物を干すのを手伝ってくれたお礼。あと、彼らを助けてくれたお礼かしら?」
リーナはそう話すとクスッと笑った。ユングは彼女に突然キスされると、耳まで真っ赤になって驚いた。
『!!!!!!』
彼女にキスされた事に驚くと一歩引き下がって大きなリアクションをした。ユングの驚いた表情にリーナも思わずキョトンとした。
「どうしたのユング君。キスなんかに驚いて?」
「リ、リーナさん…! 今のはまさか……! キ、キ、キスですか…――!?」
挙動不審になりながら驚く彼に、彼女は可笑しそうに頷いて返事をした。
「そうよ。あら、あなた女性からキスされるのは初めて?」
「あ、当たり前ですよ……! ぼっ、僕は女性の人とキ、キスなんて…――!」
「やだ。じゃあ、今のはファースト・キスって所かしら? ウフフッ。あなた可愛いわね」
『かっ、からかわないで下さい……!!』
ユングは初めてのキスに驚くと、目の前で顔を真っ赤にさせた。そんなところが彼女には可愛いく思えた。
「ファースト・キス奪っちゃたみたいでごめんなさい。でも、ちょっと嬉しいでしょ?」
「リ、リーナさんからかわないで下さい……! キスする相手を間違ってますよ…――!」
「あら、そう?」
『リーナさん……!!』
ユングは赤面しながら言い返した。彼女は少年のウブな反応に新鮮さを感じた。
「でも、こんなことハルバート隊長に知られたら僕は殺される……! よりによってリーナさんとキスだなんて、ハルバート隊長が許すハズがないですよ!」
「ええ、そうね。あの人、見かけによらずに短気な性格でヤキモチ妬くタイプだから、彼に知られたらまずいわね」
慌てる彼を目の前にリーナは平然とした口調で答えた。焦るユングに彼女は悪戯な笑みを浮かべながら耳元でこっそりと話した。
「じゃあ、私達だけの"内緒"にしときましょう。それなら大丈夫よ」
『リ、リーナさん……!!』
「じゃあね、ユング君。手伝ってくれてありがとう。助かったわ。また私とキスしたくなったら、今度は"大人のキス"を教えてあげる。そのときは勿論、彼には内緒でね…――?」
リーナは悪戯に話すと、洗濯カゴを持って何処かに消えて行った。ユングは彼女の大胆な一面に翻弄されると、胸をドキドキさせながらその場を走り去った。竜小屋ではカイトが先に餌をあげていた。彼が慌てて中に入ってくると、彼は後ろを振り向いて注意した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます