第21章―竜と少年―20

 

「リーナさんおはようございます!」


「あら、ユング君。あれから元気になったの? 体は、もう大丈夫?」


「はい、このとおり元気になりました!」


 ユングはリーナの前で明るく振る舞った。彼女が耳に髪をかき上げると優しくニコッと笑った。


「そう、早く回復できて良かったわね。あたしもずっと心配してたのよ。でも、見た感じから元気そうだし大丈夫ね?」


「はい!」


「フフフッ。子供は元気が一番ね」


 リーナは彼に目を向けると優しく頭を撫でた。どこか自分の姉のような雰囲気があって、ユングはリーナの事を慕っていた。


「そうだ。もし良かったら僕も手伝います!」


「あら、いいの? でも急いでるんでしょ?」


「大丈夫ですよ。まだ時間もありますし、それにシーツとかまだ残ってるようなので……」


 ユングは彼女にそう言って話すと視線を地面に向けた。足元には、干されていないシーツの山があった。


「じゃあ、頼んじゃおうかしら?」


「はい。僕は家でお手伝いとか良くしていたので任せて下さい!」


 屈託もない笑顔で無邪気に笑うと自分から率先して洗濯籠を持った。2人は屋上で仲良くシーツを干した。風が吹くと白いシーツは風に揺られて静かにパタパタとはためいた。


「そうだ。あなたに貰った花の種、植えたら芽がでたのよ。育てたら綺麗な花を咲かせたわ」


「僕も病室で見ました。あの花はリーナさんからですよね?」


「ええ、そうよ。気づいてもらえて嬉しいわ」


「い、いえ……。僕はリーナさんが花が好きだと聞いて種を渡しただけですから…――!」


 ユングはそう言って話すと、鼻をこすって少し照れた。


「――でも、貴方のお陰で気分転換になったわ。ブルー・ラグーンの花って、透き通るような青々とした綺麗な花ね?」


「はい……! 僕の住む村にはブルー・ラグーンの花が沢山咲いてます。僕もあの花、好きです。青くて花びらが小さくて可愛いですよね?」


「ええ、そうね」


 リーナは優しく笑うと相づちをした。シーツを全部干すとユングは最後に挨拶をした。すると、リーナは不意に彼の唇にキスをした。


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