第21章―竜と少年―19

 

「お前、兄弟はいるのか?」


「ええ、上に兄と姉がいます。僕は末っ子なので、下には弟や妹はいません」


「そうか、俺の所は2つ上のネーちゃんがいる。あとは下にうるさい弟や妹とかな」 


「そうなんですか。でも、賑やかで楽しそうですよね?」


「ん~、逆に賑やか過ぎて困るけどな!」


 カイトは首を傾けると両腕を組んで項垂れた。


「――でも、なんか同じ地元同士だと親近感湧くな。色々と大変だけど、お互いガンバろうぜ!」


「はい……!」


 ユングは彼と仲良くなれた気がすると、目の前で急にクスッと笑った。


「ん? なに笑ってるんだよ?」


「いえ、なんかカイトさんて初めて会ったのに、凄く話しやすいなと思って……」


「おうよ! それが俺の取り柄だからな。なんか困った時はいつでも俺に相談しろよ!」


 彼は頼もしくそう話すと、長い前髪を手でかきあげて照れ隠しした。


「カイトさん有り難うございます……!」


「カイトで良いよ。じゃあ、あと少しで終わりだから頑張ろうぜ?」


「はい……!」


 ユングは隣で明るく笑うとサンドイッチを口に全部、押し込んで食べ終わった。2人は食事を終わらすと残りの仕事にとりかかった。その日の夜、ユングは自分の部屋で今日の出来事を日記に書いてからベッドに入って眠りについた。そして竜小屋の掃除係を任されてから一週間が経った頃だった――。


 ジフカは彼が弱音を吐いて途中で辞めるのではないかと心配して思っていたが、カイトと上手くやっているようなので、何も言わずに見守る事にした。ユングはその日、竜達の餌やりを任された。 6時頃に起きて部屋を出ると、竜小屋がある西の塔へと向かった。


 移動の最中、屋上でリーナと出会った。彼女は朝から白いシーツを干していた。ユングは彼女をを見かけると側に駆け寄って明るく挨拶をした。



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