　怪我で療養中の彼らがいる病室へ向かった。中に入るとみんな静かに眠っていた。窓際のベッドにマードックが眠っていた。ユングは静かに床を歩くと寝ている彼に話しかけた。

「僕です。マードックさん起きて下さい」

「ん…ぼ、坊主か……？」

　「はい、今日から僕は仕事に復帰します。マードックさんに挨拶しに来ました」

「そ、そうか……っ…！」

　マードックはベッドから起き上がろうとしたが怪我が酷いため、体を起き上がらすのは困難だった。

「ダメですよ、無理に起き上がっちゃ…！」

　ユングは傍で話すと彼の体を気遣った。

「す…すまねぇな…こんな無様な姿を見せちまって……動けたら良いんだが、生憎カラダが思うように上手く動かなくってな……」

「良いんですよ。今はしっかりと怪我を治して下さい」

「ああ、そうだな……」

　マードックは顔を向けると情けなく笑った。

「あのな坊主、竜小屋のことなんだが…」

「大丈夫ですよ！　竜小屋の掃除と竜達の世話は任せて下さい！　今は大変な時なので、人手不足なのもわかります！　僕に協力させて下さい！」

　ユングは頼もしい声で話すと自分の胸を叩いた。彼の屈託もない笑顔に、ついハニカンだ。

「そ…そうか…じゃあ、頼んだぞ坊主…！　俺や他の奴らも怪我で動けない。怪我が完治するまで頼んでもいいか？」

　マードックが情けない声で話すと、彼は頷いて返事をした｡暫く2人は窓際で会話をした。ユングは彼から竜の餌のやり方や竜の扱い方を教わった。彼に小屋の掃除を一通り教えてもらうと最後に質問した。

「あの、ヴァジュラとリューケリオン意外の竜は、別の小屋に入れるんですね？」

「ああ、そうなってる。あの二匹は隊長の竜だ。隊員が乗る竜とは種類が違うからな、一緒にしたら何が起きるかもわからないから別々の小屋に入れてるんだ。リューケリオンは大人しいがヴァジュラは手におえない。気性が激しいから扱いには十分気をつけろよ？」

「わ、わかりました。気をつけます……」

　ユングはその言葉に半笑いして顔をひきつらせた。

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