第21章―竜と少年―7
「ユングよ、大丈夫か?」
「う~ん…あれ……? なんでだろう…リーゼルバーグ隊長が逆さまに見える……」
寝ぼけた頭で彼を逆さまから見た。なんで逆さまなのかその事さえ気づかなかった。リーゼルバーグ隊長は、少し呆れた顔をすると、そこで指摘した。
「お前さん、ベッドから落ちてるぞ?」
「えっ…?」
「早く起き上がらぬか。朝食を持ってきたぞ?」
リーゼルバーグ隊長にそのことを言われると、ベッドから落ちた事に気がついた。体を起き上がらすと、僕は寝ぼけた頭を片手でかいた。
「あれ、なんでベッドから落ちてるんだ…?」
「それくらい元気なら、もう療養しなくても大丈夫じゃろう。さあ、朝食をとるのだ」
「は、はい…!」
ベッドに戻ると、運ばれてきた朝食を食べた。ハムとチーズとレタスが挟まったクロワッサンを食べながら、彼と話した。
「お前さんマードックから聞いておるか?」
「は、はい……! 人手不足だから、竜達の世話をするように頼まれました…!」
「ああ、そうじゃ。今回の戦闘で竜達を世話する隊員が3人死んでしまって竜達を世話する係りが今、人手不足なのだ。それにマードックも今動けない状況だ。竜達の世話をする係りは今4人で切り盛りしている所だ。お前が彼らを手助けしてくれれば心強いだろう」
リーゼルバーグはユングにその事を話すと、淹れたてのコーヒーを一口飲んだ。
「ぼ、ぼくにできるでしょうか…? だって僕は見回りしかまだやった事がないですし…――」
ユングは自信無さげに話すと彼は背中をポンと叩いて励ました。
「ああ、それなら大丈夫だ。他の隊員達や、私が教えるから安心するが良い」
「は、はい…! それなら安心ですね…! わ、わかりました…! 僕、がんばります…!」
ユングは不安げな顔をしつつも、新しい持ち場に意欲を持った。リーゼルバーグはユングの素直な返事に目を細めて優しく微笑んだ。不意に彼に頭を撫でられると、少し照れた。
「ユングよ、お前は本当に素直な子だ。そういった良い所はもっと伸ばすとよい」
「は、はい…――!」
彼に褒められると、顔をパァッと明るくさせて返事をした。
「あの、見回りとかどうしますか…?」
「それなら大丈夫じゃ。ハルバートや私が見回りをするから、今療養している隊員達の怪我が治るまでの辛抱だ」
「わかりました。じゃあ僕は時間が余った時、見回りします」
「うむ。そうしてくれると私達も助かる。頼んだぞ」
リーゼルバーグはそう話すと、感心した表情で返事をした。
「さあ、早く食べてマードックのところに行くのだ。詳しい話しは彼から聞くといい」
「はい…!」
ユングは返事をするとクロワッサンを急いで食べた。食事をし終えるとベッドから出て彼とそこで別れた。
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