第21章―竜と少年―6

 僕は弓矢だけが得意だった。幼い頃に父から、弓矢を教わった。父さんは森によく狩りに出掛けていた。僕はその後をよくついて行った。父さんは僕に狩りの仕方と獲物を狩るときする罠の仕掛け方を教えてくれた。


 父さんが亡くなってからは僕が森に狩りに出た。狩りでは鹿や兎やイノシシとかを捕まえた。でも、やっぱり獲物を捕まえるのに苦労した。


 僕でさえ、森で狩りをしても一日はかかった。それに周りは雪で覆い尽くされている。そう考えてもこの大陸はここに住む人達にとって厳しい環境だ。だからこんな環境に育っても夢とか希望とか簡単には持てなかった。


 それがあの時の僕の考え方だった。自分は一生、ここから何処にも行けない。そう、心の中で決めつけていた自分がいた。でも、僕はあの人に出会ってから、そんな考え方はやめた。それにこんな環境でも少しは夢や希望とか持てるような気がした。自分は何処にも行けないと最初から決めつけるよりも、いつかは行ける。そう思うと気持ちも少しは楽だった。


 それにいつかこの目で、あの人が教えてくれた世界を自分の目で見て確かめようと心に決めた。夢の中で色々な事を考えていると、気がついた時にはベッドから下に落ちていた。誰かに名前を呼ばれて声をかけられると、そこで目を覚ました――。

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