第21章―竜と少年―3

 僕はあの日、ここに仕事のお使いで来た時に竜小屋の前で、あの人に声をかけられた。初めから竜騎兵になりたくてここに入ったワケでもなかった。ただ「竜」に乗る術を教えてくれる。その言葉に僕は魅力を感じた。


 それにとくに何かすることもなかった。毎日が退屈で生きる希望とか持てる様な環境でもなかった。だから、僕はその言葉に惹かれたんだ。


 何か変われるかも――。


 初めはそんな思いつきで、僕は彼に誘われて竜騎兵の隊員になった。家族達の反対を押しきって、僕はここのタルタロスで働くことを決めた。良くない噂とかあったけど、父さんが亡くなってからは、うちの家は生活するのも一苦労だった。かといって働くと言っても、ここの大陸グラスガヴナンは働き口が少なく、街も少ない辺境の地だった。


 それにある噂を聞いていた。ここで働けば、今よりも生活が豊かになる。そんな噂があった。だから僕は家族の生活を支える為に、ここで働くことを決心した。


 竜騎兵の隊員としてここに入ってから半年後、僕にも一頭の竜が与えられた。その竜は、僕があの日。竜小屋でコッソリ見たあの竜だった。元気がなくとても寂しいそうな目をしていた。僕はその時、不思議に思って見てたけど、後から聞いた話では、その竜は、主を亡くしたばかりだったと聞かされた。


 僕はその竜にアルムと名付けた。アルムは大人しくて臆病な性格の竜でワイバーンの中では一際小柄だった。初めは、手な付けるのに苦労した。今も手な付けるのに苦労してるけど初めの頃よりかは仲良くなった。でも、やっぱりリーゼルバーグ隊長やリューケリオンみたいに上手く仲良くまではいかなかった。そんなところが僕は彼らを尊敬してしまう。


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