第21章―竜と少年―2



――竜に興味があるのか?




 はい…。ここに来る時、いつも見てました。



 この翼があれば、何処にでも羽ばたいて行けますね。



――そうだ。鳥は自由の象徴だ。


 そこに柵や束縛さえもない。

 行きたいところに彼らは行ける。



  お前は何処に飛んで行きたいのか?



 僕には無理ですよ。

 それに、ここしか行けないんです。


 ここが僕の帰る場所であり、ここが僕にとっての世界なんです。



――お前はその先を見たくはないのか?



 世界は広い。竜はお前にその先を見せてくれる。お前が思っている以上の世界が、あの遥か向こうの彼方には広がっている。その目で確かめて見るが良い。ここが、全てと思うなら初めから何処にも行けはしない。


 何処にも……?


――ああ、そうだ。お前はまだ若い。


 希望を持たずにただ生きる事は、生きる気力さえも奪うだろう。お前ならあの遥か向こうの世界に行くことが出来る。


 でも、僕は竜に乗ったことがありません。


――それなら、私がお前に竜に乗るすべを教えてやろう。そして、いつか世界を見てくるのだ。自分の眼で。


 貴方は?


――私の名はリーゼルバーグ。どうだお主よ、竜騎兵になってはみないか?



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