第17章―天上の刃―11

「一体誰が殺しやがった! まさかあいつか…――!?」


 ハルバートの脳裏には、ジャントゥーユの顔が過った。


「あの野郎なら殺るかもしれねぇ! いや、そうに決まっている! でなきゃ、あいつがこんな事をするはずが…――!」


ハルバートは脳裏にクロビスの顔が過った。でもあくまでも彼は否定した。そうでなきゃこの現実を受け入れることは難しかった。床から立ち上がると、そのままオーチスの方に歩いた。


 彼が椅子の上で死んでいる事をあらためて確認した。表情は恐怖に怯えているようにも見えた。ハルバートは、頭の上に被されている帽子を手に取るとそこで絶句した。オーチスの頭は切り開かれていて脳がなかった。その衝撃的な光景を目にすると思わず吐き気に襲われた。


「うぐっ…! っ…――! なっ、なんてひでぇ有り様だ……!」


 彼のあまりにも無惨な姿を目の前に、口を手で押さえて吐き気を抑えた。


「オーチス…――。俺はアンタが嫌いだったが、そんな風に変わり果てちまったんじゃ同情するぜ。せめてもう一度生きていたアンタと話ができれば良いのに」


ハルバートは彼の無惨な姿に同情した。動揺しているとそこにケイバーが部屋に訪れた。


「ちょっとお邪魔するぜ。ははっ、こりゃスゲーな」


扉をノックして部屋に入るなり、笑いながら死体を観察した。


「これまた派手にやったもんだなぁ。やっぱり、殺しちまったんだアイツ。まあ、やるとは思っていたが、まさかここまで酷いとはな――」


 ケイバーはオーチスの死体を興味津々な表情で眺めた。彼は驚く事もなく、飄々とした口調で話した。


「で、頭の中身はどこにいった? やっぱりアイツは本物だぜ。マジでイカれてやがる。クククッ」


 そこで嘲笑うかのように誰かのことを呟いた。ハルバートはカッとなると思わず右手で胸ぐらをグッと掴んだ。


『やっぱりテメェらか…――! こんなイカれた事をするのはお前らしかいねぇと思ってたぜ! それでも同じ人間かっ!?』


 ハルバートはやり場のない怒りをぶつけた。ケイバーは胸ぐらを掴まれると、フンと鼻で笑って言い返した。


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