第16章―天と地を行き来する者―12

ハラリエルは、今から半年後に起きる未来の出来事を予言した。それは例のあの子の話だった。話によれば、ローディンに暗雲の影が迫っているらしい。それにこの2年間で大分内情が変わったとも言った。


 ボクの知らない所でローディンと燐国のサンドリアが戦争を始めている事を知った。ボクはこの2年間は天界の方を監視していたから、下界の方には目が行かなかった。ハラリエルは半年後に起きる未来の予言をボクに託すと再び眠りについてしまった。


 ボクは彼に予言を託された。それは半年後。戦いから帰還してくる王宮騎士団の中に、命を狙われている者が2人いると言われた。それがアレンとシュナイゼルだった。


 ボクは彼らにその予言を伝えるようにと、言われた。そして、どこで何が起こるかを彼は詳細に教えてくれた。ボクには全然わからなかったけど、彼の目には何かが見えているらしい。


 それが彼の持つ能力だった。そして、ボクは半年後に地上に降りる事を決めた。ハラリエルが再び眠りについて半年が過ぎた頃、実に3年と言う月日が流れた。3年間といえば彼女がローディンに帰ってくる頃だ。ボクは彼に言われた通りに下界に降りた。


 どうやらこの3年間で本当に色々な事があったのがわかった。調べた所、ユリシーズは戦死していた。そして、王様も体の具合が悪いらしい。その日の真夜中、王都の近くにある森で休んでいる彼らのもとに訪れた。森の中では彼らが寝静まっていた。ボクはシュナイゼルだけを起こすと湖まで呼び寄せた。そして、彼の前で姿を現すと予言を伝えた。


 その時は彼はボクのことを疑っていたが、彼らにそれを拒むことは出来ない。予言を無視すればそれは即ち死を意味する。


 ボクはそうならないように、彼らに予言を伝えた。あとはどうなるかわからない。「未来」はハラリエルにし見えていない。シュナイゼルに最後、警告すると湖から空へと飛び去った。ハラリエルの話では、彼らが王都に戻った直後に誰かに殺されるビジョンが見えたらしい。


 そうならない為にも予言を必ず彼らに伝えるようにと言われた。どうやら彼らはボクが話した予言を信じてくれたようだ。予言を信じたことによって2人は危機的状況を乗り越えられた。


 彼らを見届けると再び天界へと帰った。ボクが彼らに出来ることは、これくらいしか出来ない。あとはハラリエルが目を覚ますの待つだけになった。それからと言ったもの、ボクは彼が再び目を覚ますのをずっと、待っていた。予言の子供、ハラリエル。キミの瞳にはどんな未来が見えているんだろうか――。


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