第14章―魂の在りか―8
「積もる話もありますでしょうが、今はとにかく城へと急がねばなりません」
「まあ、何かあったの?」
「詳しいことはわかりませんが、何やら大臣からの大事な話があるそうです」
「バーシルが?」
「姫様、左様でございます。なので彼とはここで別れて下さい。私とアレンは、このパレードを抜けて別ルートで城へと急ぎます」
「嫌よ、アレンとは離れないわ! 離れたくない!」
ミリアリアはアレンにしがみつくと離れようとはしなかった。
「姫様すみませんが、今は城へと急がねばならないので私から離れて下さい」
「ア、アレン……!」
ミリアリアは彼に頼まれると、なくなく引き下がった。
「わかったわ…――。じゃあ、用事が終わったら私の部屋に来てね? そしたら一緒にお茶をしましょ?」
「ええ、わかりました」
「必ずよ? 必ず来てね……?」
「はい、必ず…――」
彼女は寂しそうな声で話すとアレンの顔をジッと見つめた。
「……ゴホン。では、私と一緒に行こうとしよう!」
「ええ、わかりました…――!」
アレンはミリアリアを馬から下に降ろすと、近くにいた部下に声をかけた。
「オスカーすまんが、彼女を頼む!」
「ああ、いいぜ。親友の頼みだったら何でも聞いてやる。で、このおチビちゃんは?」
「ミリアリア様だ。お前まで目が霞んだか?」
「う、嘘だろ……!? だって姫様はまだ…――!」
「姫様は他国からお戻りになったばかりだ」
「あ、ああ。そう言うことか。でもまあ、随分とお変わりになられた様で……」
「あら、オスカー久しぶりね。元気だった?」
「ええ、3年ぶりですね姫様! それにしてもあのペッタンコだった胸が、いつの間にか出るようになったんですか! このまま成長しないんじゃないかと心配してました! いや~。今後の姫様の成長が楽しみです!」
オスカーはそう言うと彼女の体をじっと観察した。
「ちょっと、どこみてるのよエッチぃ!!」
ミリアリアは怒ると彼の顔を平手打ちした。
「ッ……! さすが姫様、相変わらずビンタは強烈だ」
「デリカシーのない男ね、だからオスカーは嫌いなのよ! アレンとは、大違いだわ! ねぇ、アレ――」
ミリアリアは後ろを振り返ると、彼に話しかけた。すると、彼はいつの間にか居なくなっていた。
「あら? アレンがいない……!? 酷いわアレン!! 行ってきますのキスもないなんて……! 私よりそんなに用事の方が大事なの!? アレェーン!!」
ミリアリアはそこでショックを受けた。彼女の気持ちとは裏腹にアレンは城へと急いだ。2人は市街地を駆け抜けて最短ルートで城へと馬を走らせた。市民の大勢は戦から帰ってきた騎士団達の大行進を観る為に凱旋門へと集まっていた。町中がお祭り騒ぎの中、2人は急いで城へと目指した。市街地を抜けて細い路地を左に曲がった時、アレンとシュナイゼルの目の前に物騒な物を持った連中達が突如現れた。人気のいない路地で彼らが目にしたのは山賊団のグループだった。彼らはニヤリと笑うと2人の周りを取り囲んだ。
「むっ……! こやつらはゴウランの手下の山賊共だ! 気をつけろアレン!」
シュナイゼルは馬を退かせると後方へと下がった。
「おのれ、蛮族! 王都にまで入り込むとは只では済まさんッ!!」
アレンは腰から剣を抜くと戦闘体勢に入った。
「くっ、奴らに行動を読まれていたとは……!」
「シュナイゼル団長、それはどう言うことですか……!?」
「今は説明をしている暇などない! 奴らを殲滅させるのが先だ! それに退却することも出来そうにもないからな…――!」
彼はそう話すと後ろをチラッと確認した。後方は既に敵に道を塞がれていた。退路を断たれた彼らはそこで戦うことを余儀無くされた。
「わかりました。では、我々王宮騎士団の恐ろしさを敵に存分におもい知らせてあげましょう!」
「アレン良い心構えだ。それでこそ騎士に相応しい! さあ、来るがいい!」
2人は剣を構えると戦闘体勢をとった。すると山賊達は一気に襲いかかった。
『やっちまえぇええええっっ!! うぉおおおおおお――っつ!!』
山賊達は彼らに剣を向けて襲いかかった。体格の大きい男は青竜刀は振りかざして、真っ正面から切りにかかった。アレンはその一瞬を見極めると馬に合図をした。ジークフリードは素早くかわすと、アレンは剣を振り上げて斬りつけた。鮮やかな剣さばきに男は攻撃をかわす隙もないまま、スバッと切り捨てられた。
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