第8章―吹雪の中の追跡―8
「それにアイツにも聞かれるだろ……!? 坊っちゃんにその事が知られたら、俺としては非常にまずい! 今でさえ口を聞いてくれないのに、そんな事が知られたらもっと口を聞いてくれなくなるだろ!?」
ハルバートの焦り具合にケイバーは笑いを堪えて頷いた。
「まあ、確かにそれはあるかも。ギュータスは、クロビスの忠犬だからな。気をつけないと何でもかんでも報告するぜ。アイツはそう言う奴だから」
ケイバーはそう言ってギュータスの方にチラッと視線をむけると、再び耳元でヒソヒソと話した。
「それに俺だって正直、自分の性欲にはまいってるんだ。お前にわかるか、俺のSEX依存症の苦しみが!? わかるなら今すぐ言ってみろ!」
ハルバートが赤裸々に自分の悩みを打ち明けると、ケイバーは顔をひきつらせながら答えた。
「絶倫のなれの果てって奴か…――。すまんがお前のその性欲の悩みには、俺は同情することしかできん。まあ、薬中の依存症よりかはマシだな?」
ケイバーは滑稽に思いながらその事を言い返した。
「もしかして精力増強剤ってアレをいっぺんに解消する為に飲んでるのか?」
興味本意な質問にハルバートはそこで舌打ちをしてみせた。
「だったら何だよ。お前が俺のモヤモヤとムラムラをいっぺんに解消してくれるって言うのかよ? 俺はこの何年間、SEX依存症にかかって自分でもムチャクチャ呆れてるんだよ!」
そう言って突然怒鳴り声を上げると、周りにいた部下達が一斉に注目した。
「ハルバート隊長どうしました!? 囚人がみつかりましたか!?」
部下の質問にハルバートは再び舌打ちして怒鳴った。
「うるせぇ! 俺のことは構うな、今は任務に集中していろ!」
そう言い返すと部下は再び任務に集中したのだった。
「大体お前がアレを怪しく渡してくるから、リーゼルバーグのやつが勝手に俺のことをジャンキーだと決めつけて困ってるんだよ。言っとくがな、俺はヤバい薬とかは手は出してないからな! 俺がキメてるのは精力剤とかだ! なのに奴は俺が麻薬とかに手を出してると思って勝手に勘違いしてやがる! ホントにムカつくぜ!」
ハルバートはそう話すと舌打ちをしながらリーゼルバーグの方を睨んだ。
「確かに俺は落ちぶれてるが、ヤバいモノに手を出すほど落ちぶれてねーからな! 一層のこと俺が部屋の中に隠し持ってる精力剤の山をアイツに見せてやりたいぜ!」
「はははっ、マジで絶倫魔王じゃねーか……。お前のそれ病気に近いぞ?」
「あぁん? だったらなにか? そう言うお前こそ病気だろ。俺は知ってるぜ、お前が強姦魔の極悪人だってことをな!」
その言葉にケイバーは、ククッと可笑しそうな笑いを浮かべた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます