(二)-19
漁協の休憩所の席に座り、美代はしばらく泣いていた。
夕方頃、休憩所に誰かが入ってきた。そして私の目の前にペットボトルを置いてテーブルの反対側に座った。
「連絡きたよ。無事だってよ」
うつむいていた美代は、顔を上げた。南条だった。
「どういうこと」
「エンジントラブルで漂流していたらしいんだが、沖合にいて、無線が届かなかったらしい。いま海保の巡視船に曳航されて蜂戸港に向かっているってさ。修理するからしばらくドッグ入りするそうだ」
「じゃあ、カケル兄は?」
「ああ、乗組員は全員無事だそうだ。良かったな」
美代は、涙を拭いてから「そうね……。本当に良かった」と小さく言った。
「送っていくベ」
南条は立ち上がった。
「うん、ありがとう」
美代は小声でお礼を言って、立ち上がった。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます