(二)-18
「でも……、でも……」
母は泣き出してしまった。
後日、美代と母は蜂戸の海上保安部へ行った。海難事故が起きてから三ヶ月経つと、死亡認定の届け出ができる。そのための書類を提出に来たのだった。
書類を提出し、事務的な説明を事務的にしていた事務員が、相続のことについて話し始めると、母は泣き崩れてしまった。話の続きは美代が聞くことになった。
しかしその内容は、美代の鼓膜を振るわせるだけで、長期記憶どころか短期記憶にも入ってこなかった。法務事務という専門的な内容で難しかったというのもあったが、父が死んだという事実を、美代は未だに信じられずに受け入れることができなかったからだ。
(続く)
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