(二)-10
十数隻ほど集まっている船の中には、その名前の船はなかった。
美代は近くに建っている建物に駆け寄った。漁協の建物だった。漁師たちの休憩所のようになっていた。
横開きのアルミ製のドアを開けて中に入ろうとした。すると、中から青年が出てきた。高校の同級生だった南条義男だった。
「あれ? 小松でねえか。どうしたの、こんなとこで」
「カケル兄ちゃんは? 第六六豊漁丸は戻ってきた?」
これから帰宅するところだったのだろう、のんびりした南条の態度に対し、美代の問いかけはそれより遙かに鬼気迫るものだった。
そのせいか、南条は美代の態度に戸惑いながら「いや、まだでねえべか」と答えた。
(続く)
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