(二)-9

 美代を乗せた森丘交通の高速バスは、二時間ほどで九治駅前に到着した。

 美代は駅前のバス停からすぐにタクシーに飛び乗った。そして運転手に漁港へ向かうように伝えた。

 港に着くと、美代はタクシーを降りて、漁港に駆けていった。

 港には寄港した漁船が何隻も係留されていた。水揚げも終わり、漁の後片付けや整備、翌朝の準備をするなど日常の港の姿を見せていた。

 美代は「第六六豊漁丸……」と呟きながら走って船を一隻一隻確認していった。


(続く)

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