第4話 入場とスキル
東京ダンジョン入り口付近。
東京ダンジョンまで探索者協会のバスで向かった。
ダンジョンの周辺は完全に封鎖されており、自衛隊が定期的に見回りしている。
実質民間人のダンジョンへの侵入は不可能に近い。
「皆さん、到着しました。ここが東京ダンジョンの入り口です」
ダンジョンの門は、高さおよそ五メートルだった。
門の周りには、鬼のような形相の像がいくつも並んでいた。
それを見るだけで少し不気味に感じた。
「うひょ〜!これがダンジョンか!」
見た感じ大学生だ。
金髪に染められた髪に耳には大量のピアス。
そういえば、ダンジョンの入場許可は20歳からだったな。
「では、皆さん。これよりダンジョンに一人ずつ入っていただきます。門の向こう側にも我々隊員がいるので安心してください」
そう言って、真壁隊員は皆に一列に並ぶように促した。
我先にと皆が列に並び始める。
それをまじまじと見ていた俺はどうやら最後尾になってしまった。
(まあ、興奮するのもわからなくないけど…)
心の中で苦笑いする。
列の中には女性の姿も見られた。
一応探索者は命懸けの仕事だから女性は少ないかと思っていたが…。
いや、今の時代女性とか男性とかあんま関係ないか。
一人ずつ門の中に入っていく。
外から見た門は真っ暗になっており、おそらくダンジョンに入るまで中が見えない仕組みになっている。
とうとう俺の番が来た。
俺は目の前の暗闇に手を伸ばし、ゆっくりと進んでいく。
【ダンジョンへの入場を確認しました】
【九条カイト 28歳 登録完了】
【これよりステータス機能とスキルを付与します】
【……エラー】
【……エラー】
【……エラー】
(なにこの声……エラー? 大丈夫か…?)
【システムへの介入を確認】
【再度実行】
【……完了しました】
【九条カイトのスキルは……『オーヴァーロード』です】
【ステータスを表示します】
—————————
【名前】九条 カイト
【レベル】 0/100
【H P】 15/15
【M P】 20/20
【攻撃力】 5
【防御力】 8
【スキル】 『オーヴァーロード』(Lv.0)
—————————
すげぇ……まるでゲームだな。
ゲームクリエイターとしてこの感動は半端ないっ!
こんなのが現実になるとは思いもしなかった。
「九条さん、ダンジョン内へようこそ」
真壁さんが声をかけてきた。
周りを見渡す。
その場所は洞窟の中みたいな場所だった。
俺より先に入った人たちは、自分にしか見えないであろうステータスのウィンドウを凝視していた。
「皆さん、今の入場でスキルとステータスを取得したと思います。念のため聞きますが、取得できていない人はいますか?」
「……」
「大丈夫そうですね。では、これよりモンスターの討伐を行います」
「「「おぉ」」」
俺らは協会が設置したテントの中へ入った。
そこには色々な種類の武器が置かれていた。
「では、今から武器を選んでいただきます。自分のスキルにあった武器を選んでみてください。もし自分のスキルに何が合うのかわからない方は近くの自衛隊員に聞いてみてください」
うむ。
俺のスキルは『オーヴァーロード』…。
さっぱりわからんから聞いてみよっと。
「あの、すみません」
「はい。いかがしましたか」
「『オーヴァーロード』というスキルを取得したのですが、これってどのようなスキルなのでしょうか…?」
「『オーヴァーロード』…ですか?」
「はい」
「調べてみます。少々お待ちください」
そう言って女性の隊員は、手持ちのタブレットで調べ始めた。
おそらく今までのスキルデータと照合しているのだろう。
「検索にヒットしなかったので、おそらく新しいスキルだと思います」
「おぉ、それって珍しんですか?」
「そんなことないですよ。まだスキルを獲得していない人は多いですから、かなりの確率で新しいスキルが発見されます」
「なるほど。ちなみにスキルってどうやって使うんですか?」
「えっとですね、なんか、なんとなくわかるんでるよね…」
「……」
え?
まってまって。
まったくわからないんですけどっ!
そう思っていたら周りにいた一人が「はっ」とか言って、近くの岩を破壊し始めた。さらにその横では「おりゃ」って言って剣から見えない斬撃のようなものを飛ばす。
本当に感覚でスキルの使い方がわかるんだ…。
なんで俺だけ何もわからないんだ?
「あの、真壁さん」
「どうしました?九条さん」
「あの、自分のスキルがどうしたら使えるかわからないんですが…」
「……」
真壁さんは何か考え始めた。
「新しいスキルですか?」
「はい、先ほど調べてもらったらそう言われました」
「そうですか、ではおそらくレベルアップ型のスキルだと思います」
「レベルアップ型…ですか?」
「はい。日本でおそらく九条さんが初めてです。海外では稀にいるみたいですよ」
真壁さん曰く、レベルアップ型のスキルはその名の通りレベルが上がらなければどう使うかわからないスキルなのだと言う。
海外では稀に出現するらしく、未だ不明な点が多いスキルだ。
「とりあえず今はレベルを上げることに専念してみてはいかがでしょうか?」
「わかりました!そうします」
「1階層で使う武器はハンマーがオススメですよ」
そう言われて俺は右手にハンマーを握りしめた。
こうして民間人初めてのモンスター討伐が始まった。
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